金谷拓実 ジャンボ尾崎以来、29年ぶりの2週連続完全V王手「とにかく自分らしいプレーをするだけ」


18番でバーディーを決めガッツポーズする金谷拓実(カメラ・谷口 健二)

18番でバーディーを決めガッツポーズする金谷拓実(カメラ・谷口 健二)

◆男子プロゴルフツアー ASO飯塚チャレンジド 第3日(10日、福岡・麻生飯塚GC=6809ヤード、パー72)

 前週のBMWツアー選手権森ビル杯覇者の金谷拓実(25)=Yogibo=が初日からの首位を守り、1994年の尾崎将司以来2人目となる2週連続完全優勝に王手をかけた。9バーディー、1ボギーの64で回り、通算25アンダーとし、32アンダーのツアー記録更新も視界に捉えた。この日のベストスコア63をマークした2週連続2位の中島啓太(22)=フリー=は、金谷との差を1打縮めて3打差2位。2人は3週連続で最終日最終組で優勝を争う。

 静かにバーディーを重ねていた金谷が、最終18番で右拳を振り下ろした。6メートルのフックラインを沈め、中島との差を3打に広げた。「いいパットが決まった。精いっぱいやったし、今日もベストのプレーはできた」。賞金ランキングでもトップを行く無双男が、尾崎将司以来29年ぶりの2週連続完全Vに王手をかけた。

 アマチュア時代から共に世界を目指してきた中島との3週連続の優勝争いに「ミックスアップというか、お互いにいいプレーを引き出せている。明日も一緒にプレーするのが楽しみ」と笑みが漏れた。「ゴルフへの姿勢や、尊敬する部分も多くある。啓太君がいるからこうして頑張ってこられている」。2つ学年が下のライバルとは、ナショナルチームの頃から切磋琢磨(せっさたくま)してきた。

 3週続けて2人は最終日最終組に入った。4月の中日クラウンズ最終ラウンド中に、中島が食べていた「たこせんべい」を「またそんなの食って。かわい子ぶんなよ」と突っ込んだ金谷だったが、最近はコース上での会話はない。中島いわく「ただお互いが良いプレーを目指して、がむしゃらにやっている」。「ナイス」と声を掛け合うスポーツマンシップと、優勝争いの緊張感。張り詰めた空間が心地よくもある。

 ツアー最多の32アンダーの可能性を残し、記録ずくめの勝利をかけて最終日を迎える。「終わってみて超えられたらうれしい。とにかく自分らしいプレーをするだけ」。通算4勝中、逃げ切り優勝が3回。今の金谷には、自分を信じる力がある。(高木 恵)

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