山下美夢有が17アンダーの完全Vで今季4勝目通算10勝達成 父の日Vに涙「恩返しできた」


通算17アンダーで今季4勝目を挙げ、優勝杯を手に笑顔を見せる山下美夢有(カメラ・今西 淳)

通算17アンダーで今季4勝目を挙げ、優勝杯を手に笑顔を見せる山下美夢有(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー ニチレイレディス 最終日(18日、千葉・袖ヶ浦CC新袖C=6621ヤード、パー72)

 昨季年間女王の山下美夢有(みゆう、21)=加賀電子=が3バーディー、ボギーなしの69で回り、大会記録に並ぶ通算17アンダーで、初日から首位を譲らない完全優勝を果たし、今季4勝目を決めた。21歳320日での通算10勝目は20歳105日の宮里藍に次ぐ年少2位ともなり、コーチで父の勝臣さんに涙の「父の日V」を贈った。

 淡々とウィニングパットを沈めた山下の感情が、表彰式の優勝スピーチで一気に崩れた。「父の日に10勝目を挙げることができた」。何度も言葉をつまらせ、涙で目を潤ませながら続けた。「コーチである父は、いつも支えてくれている。こうして結果で恩返しすることができてうれしい」。昨年のワールドレディスサロンパスカップでは母の日V。今年は節目の勝利に父・勝臣さんへの感謝を込めた。

 決意を胸にティーグランドに立った。昨年の父の日は、山下と母・有貴さんの3人でおそろいの高級ジュエリー「ブシュロン」のリングを贈った。「今年は勝利をプレゼントしたい。絶対に優勝する」。10番で同組の岩井明愛が3メートルのバーディーパットを沈めた直後に2メートルを決め返すと、13番で突き放した。7アイアンを握った154ヤードの第2打を、ピンそば1メートルに刺し勝負を決めた。

 ジュニア時代、試合中にハウスキャディーに悪態をつき、父に怒られて泣いたことがある。「技術より、そういうマナーや礼儀を教えてもらった」。仕事を終えた父は午後8時過ぎに帰宅し、午前0時近くまで毎日練習につきあってくれた。「父がいなければ強くなれていない」と感謝する。涙の優勝スピーチを見守った勝臣さんは「口だけなんか分からへんし。ほんまはどう思ってるんか分からへん」と照れ隠しの言葉を並べ、母は隣で「ずっと子供のためにやってきた人なので」と涙をぬぐった。

 21歳320日での10勝は、20歳105日で到達した05年の宮里藍に次ぐ年少記録。最近5戦で3勝と、強さと勢いは増すばかりだ。「まだまだ試合は続く。自分らしいゴルフでもっと皆さんに楽しんでもらいたい」。武器とする100ヤード以内の精度と家族の支えを力に変え、2年連続女王へ勝利を重ねていく。(高木 恵)

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