◆男子プロゴルフツアー 横浜ミナトチャンピオンシップ 最終日(6日、横浜CC=7231ヤード、パー71)
2打差2位から出た中島啓太(23)=フリー=が悪天候で途中、3時間22分の中断を挟んだ嵐の一戦を冷静に制した。6バーディー、1ボギーの66で通算13アンダーとし、最終日逆転で6月以来のプロ2勝目&通算3勝目を飾った。日体大時代を過ごした「第二の地元」と語る横浜の新規大会で初代王者に輝き、賞金ランク1位にも返り咲いた。蟬川泰果(22)=フリー=が、1打差の12アンダー2位だった。
最終18番パー3。15メートルのパットを30センチに寄せると中島は勝利を確信した。「今週で一番いいパッティングができた。平常心で打てた」。最後は右手でガッツポーズ。これまでの2度の優勝のような涙はない。「自分をコントロールできた」と唯一、4日間60台を並べての逆転Vに胸を張った。
今季12試合中6度目の最終日最終組だった。「優勝争いの状況を把握しながらプレーする方が得意」と話す通り、冷静さが光った。1番のバーディーで稲森に並ぶも、2番グリーン上で豪雨に見舞われ3時間22分もの中断。このまま中止なら2位で終わってしまう中、「プレーしないで負けるのは本当に悔しい。何とかプレーできるように祈りながら準備した」。ホールアウトは日没40分前の午後6時という長期戦だった。
勝因はパットにあった。3日間、グリーン上で苦しんだが、前日に栖原(すはら)弘和トレーナー(38)と左肘の位置を微調整し「肩の回転がスムーズになり、球が転がるようになった」と奏功。中断後の2番で4メートル、6番で8メートルを沈め、ともに拳を握った。
最後は同学年の好敵手・蟬川を1打差で振り切った。横浜は日体大でキャンパスライフを過ごした思い出の街。青色の優勝ブレザーに初めて袖を通した。「第1回大会で勝てたことは本当に光栄なこと。4年間、横浜で育って第二の地元と言っていいくらい横浜が好き。叔母さんもいて、よく面倒を見てもらった」と語り、初代王者に名を刻んだ。
今週欠場した金谷拓実(25)を抜いて賞金ランク1位に返り咲いた。2週前の全英オープンで予選落ちの悔しさを味わい「向こうに行くとまだまだ実力が足りない。これに満足することなく、志を高く持って早く松山(英樹)さんのいる米ツアーに挑戦できるように」。13年に賞金王となった松山の背中を追い、中島が貪欲に勝利を積み重ねる。(岩原 正幸)