【番記者の視点】10日開幕AIG全英女子OP 前週国内ツアーに参戦した吉田優利、川崎春花、桜井心那の心境は?


吉田優利

吉田優利

 メジャー最終戦、AIG全英女子オープンが10日から4日間、英国・ウォルトンヒースGCで開催される。前週開催された日本ツアーの北海道meijiカップ(札幌国際CC島松C)には、全英初出場となる3選手が出場した。6月の宮里藍サントリーレディス後の「年間ポイントランク上位3人」の枠で出場資格を得た吉田優利(エプソン)は、当初から迷うこと無く海をまたぐ連戦を決めていた。「北海道に来たかったからというのもある。私は試合をしている方が調子を維持できるので、なるべく省エネで出続けられるのがベスト」。7月のメジャー、全米女子オープンと同様に、早めに現地で時差調整するよりも洋芝の北海道でのプレーを含めて連戦での試合勘を優先した。

 世界屈指の美しさを誇る米カリフォルニア州のペブルビーチGLで開かれた全米女子オープンは、海沿いのリンクスで予選落ちも「勉強できたことの方が多い」と、決してマイナスにはとらえていない。今回と同じく直前まで国内ツアーに出たために、米国での調整がうまくいかなかったようにもうつるが「日本のツアーに出たからではない。自分の責任」ときっぱりと否定した。「日本のツアーにも出たい。両方をするには、この選択肢しかなかった」と今回の全英もハードスケジュールは承知の上で、今季国内メジャー1勝で年間ポイントランク6位につける23歳は国内ツアーに直前まで出る選択をした。

 吉田にとって海外メジャーは「思い入れはない。ただ行くだけ」とあくまでも年間スケジュールの中の1試合にすぎないという。北海道meijiカップでは7位と好成績も「納得できないところの方が多い」と満足感はなかった。「メジャーだからって気負うこともない。普通に行って、どう出るかだと思う」。プロ5年目の経験を生かして平常心を貫き、前週の悔しさを英国の地で晴らす。

 北海道meijiカップ開幕前日の3日に、急きょ全英出場が決まった選手もいた。ともに「世界ランク上位50位以内」のカテゴリーで出場枠が降りてきた2003年度生まれ「ダイヤモンド世代」の川崎春花(村田製作所)と桜井心那(ここな、ニトリ)だ。川崎は今年の全米女子オープン(64位)に続く2度目のメジャー。北海道meijiカップの直後に英国へ向かうため、自宅にいた父からゴルフウェアや荷物を宅配便で北海道に送ってもらったという。急な出場のため「コースもわからん」と“ぶっつけ”本番で挑む。

 前週は今季最高に並ぶ3位に入った。持ち前のショット力を取り戻しつつあり「自信にはなる」と明るい表情も戻ってきた。国内の年間ポイントランクは46位から39位にジャンプアップ。「ポイントを稼ぎたい」と2年連続シード入りを今季目標としている。全英は「予選通過はして、行くからには上位を目指したい」。20歳は2度目の大舞台で果敢に上位を狙う。

 一方、今季ツアー2勝の桜井は初メジャーの目標を「優勝」と堂々と宣言した。「来週の試合と一緒という感じで。ただ移動時間が長いなというイメージ」と報道陣の前で強心臓ぶりを披露。昨季は下部ツアー新記録の5勝をマーク。元々、海外志向が強く、初優勝時には「アメリカに行きたい」と将来的な夢も語っていた。今回、突然巡ってきた出場決定には「プレッシャーはない。行くとも思っていなかったから、その点に関しては気負いもない」と正直な胸の内も明かした。

 三者三様の心境で全英の夢舞台に挑む。日本勢は2019年大会覇者の渋野日向子(サントリー)、畑岡奈紗(アビームコンサルティング)など米ツアーに主戦場を置く選手たちも出場。国内組では昨季年間女王・山下美夢有(みゆう、加賀電子)、双子の岩井明愛(あきえ)、千怜(ちさと、ともにホンダ)姉妹らが男女通じて今季最後のメジャーに出場する。今回は海沿いのリンクスではなく、初開催となる林間コースでもあり、過去最多16人の日本勢の活躍が楽しみだ。(ゴルフ担当・富張 萌黄)

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