「日本一曲がらない男」稲森佑貴が今季初V フェアウェーキープ率7季連続1位


優勝カップを手にする稲森佑貴と妻の美穂さん

優勝カップを手にする稲森佑貴と妻の美穂さん

◆男子プロゴルフツアー ACN選手権 最終日(8日、兵庫・三甲GCジャパンC=7295ヤード、パー72)

 首位と2打差の3位から出た稲森佑貴(29)=国際スポーツ振興協会=が通算17アンダーで並んだ宋永漢(ソン・ヨンハン、32)=韓国=とのプレーオフ(PO)を1ホール目で制し、今季初優勝を挙げた。昨年6月のジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ・サトウ食品以来、通算5勝目。7季連続でフェアウェーキープ率1位の「日本一曲がらない男」が男泣きの勝利を飾り、賞金ランクは7位に浮上した。

 稲森が涙の今季初勝利を挙げた。パー以上で最終組の宋を上回る状況だった正規の18番。第2打がグリーン奥のギャラリースタンドに当たり、3オン2パットのボギーに。自身初のPOに突入した。「緊張の方が強かった」がキャディーから「楽しみましょう」と声をかけられ、切り替えた。正規の18番での反省を生かし、パーで優勝を決めた。

 これまでの3日間とは違い、風が穏やかな一日。スタートから伸ばし合いの様相を呈した。前半でリーダーボードを見た際は「優勝争いは部外者なのかな」と思ったという。16番のティーグラウンドで再びボードを見ると単独首位に立っていた。「あれ? トップだ」。初めて優勝を意識した。

 苦しい期間を乗り越え、涙があふれた。8月の横浜ミナトチャンピオンシップでは、3日目まで首位を譲らなかったが、5位。「夏場にいろいろ悩んでいた。練習も頑張ったが、思ったようなショットができなかった」と泣きながら明かした。来年3月に待望の第1子が誕生予定。家族の存在を力にはい上がった。今週は妻・美穂さんも観戦に訪れ、夫婦でつかんだ1勝となった。

 フェアウェーキープ率は15年から7季連続1位を記録中。今季も2位に10ポイント以上差をつける79・74%をマークしている。「1ホール7%損失として、2ホールまでは(外して)ギリOK」と気楽に考え、大台の80%突破を目指す。今回の優勝で12月の今季メジャー最終戦・日本シリーズJTカップ(報知新聞社主催)の出場権を獲得した。4年連続8度目の出場を決め、自慢の正確性を武器に初制覇と、自身初の賞金王を目指す。(富張 萌黄)

 ◆稲森 佑貴(いなもり・ゆうき)1994年10月2日、鹿児島県出身。29歳。実家が練習場で6歳からゴルフを始め、鹿児島城西高2年時の2011年に16歳でプロテストに一発合格。日本オープンで初優勝を挙げた18年に自己最高の賞金ランク3位。20年2月に結婚。169センチ、68キロ。家族は妻。

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