金谷拓実「毎週毎週、彼と勝負するのが好きだった」 中島啓太の賞金王たたえる


4番、セカンドショットを放ち歩き出す金谷拓実 (カメラ・豊田 秀一)

4番、セカンドショットを放ち歩き出す金谷拓実 (カメラ・豊田 秀一)

◆男子プロゴルフツアー カシオワールドオープン 最終日(26日、高知・Kochi黒潮CC=7335ヤード、パー72)

 賞金ランク2位で首位から出た金谷拓実(Yogibo)は5バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの72と伸ばせず、通算10アンダーで7位だった。同ランクトップの中島啓太(フリー)が68と伸ばし、12アンダーで4位。最終戦の日本シリーズJTカップ(優勝賞金4000万円)前に約4382万円差がついたため、金谷の逆転キングへの道は途絶えた。

 先にホールアウトした中島が、スコア提出所近くで最終組の金谷を待っていた。金谷は中島に「おめでとう。一年間本当に強かった」と声をかけ、抱擁を交わした。中島からは「一年間ありがとうございました。来週また優勝争いしましょう」と返ってきた。

 金谷は2番で2オン3パットのダブルボギーとつまずいた。8、9番で連続ボギーを喫したが、10、11番で連続バーディーを奪い、ファイティングポーズを取り続けた。しかし16番で左ラフからの第2打が池に入り痛恨のボギー。「優勝しかない状況で前半にスコアを崩した。こうしてプレッシャーのかかった中で、しっかりと自分の力を出せなかった。まだまだ力不足。中島選手が1年間を通して安定したプレーをしていた。終盤のプレッシャーのかかった中で力を出すというのは強さの証拠。素晴らしいプレーをしてきたので本当に『おめでとう』と言いたい」と中島をたたえた。

 アマチュア時代からナショナルチームで行動を共にしてきた2人だからこそ、分かり合えるものがある。「彼の高い志やゴルフに対する取り組む姿勢が他の選手よりもずば抜けているのは見てきた。そういったことが結果に出たと思う」と語り、「中島選手と優勝争いをしているとゴルフで会話ができる。ゴルフで勝負して、会話も必要なかった。彼とプレーする時が国内では一番手強い。でも一番楽しい瞬間でもあった。本当は最終戦まで勝負したかった。来年はもっとステップアップして、彼と競い合いたい」。時折目を潤ませながら、熱い思いを吐き出した。

 中島が最終戦の日本シリーズJTカップで金谷と優勝争いをしたいと口にしたことについて、「やさしいですね」と笑みを浮かべつつ、続けた。「本当に彼の人柄や、ゴルフだけじゃない素晴らしさも僕は大好きです。毎週毎週彼と勝負するのが好きだった。それが終わってしまったのは寂しい」。世界で競い合うその日まで、2人の戦いは続いていく。(高木 恵)

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