2023年シーズンの国内男子プロゴルフツアー最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップは30日から4日間、東京・稲城市の東京よみうりCC(7023ヤード、パー70)で開かれる。今年のツアー優勝者をはじめ、賞金ランク上位者ら総勢30人が出場する。出場予定の選手を紹介する連載の最終回は2年ぶり2回目出場の中島啓太(23)=フリー=。
今季3勝目を挙げた11月のマイナビABC選手権。中島はある変化を取り入れていた。本来の体の動きを失いつつあると感じたからだ。「重くてキレがないなと。体のキレを出さないと体が回らない、動かない」。通常はシーズン中も週に2、3回、ウェートトレーニングに励むが、その週は一度もせず、代わりにあるトレーニングを投入した。
高校時代に右手小指を骨折し、ゴルフができない期間があった。ふと、当時の練習を思い出した。5メートルと10メートルの超短距離ダッシュだ。「5メートルダッシュは2、3歩で終わるし、10メートルダッシュも5、6歩で終わる。それを左足からスタートしたり、右足からスタートしたり」。合わせて10本ほど。体のキレが戻り、強さが増していくのを感じた。「自分で『これぐらい振れているだろうな』という感じで動画を撮ってもらうと、イメージよりも速く振れていた」
練習量も自然と増えた。毎日、日没近くまでコースに残り球を打った。その結果が、初日と最終日の15番パー5でのイーグルを生んだ。「第2打がスプーン(3ウッド)だったんですけど、『練習しているから大丈夫』っていう自信がめちゃくちゃあった」。自分と向き合い成長を遂げたシーズンの最終戦が幕を開ける。「第60回の記念大会に名を刻みたい」。23歳162日での大会最年少Vと、ツアー史上5人目の2億円突破へ。賞金王がダッシュを決める。(高木 恵)=おわり=
◆中島 啓太(なかじま・けいた)2000年6月24日、埼玉・加須(かぞ)市生まれ。23歳。日体大卒。6歳でゴルフを始め、東京・代々木高3年時の18年にオーストラリアアマ選手権で日本人初V。18年アジア大会個人&団体金。21年アジア太平洋アマチュア選手権を制し、22年マスターズの出場権を獲得。21年9月のパナソニックオープンで日本ツアー5人目のアマ優勝。22年9月にプロ転向。177センチ、75キロ。
◆2015年第52回(平成生まれ初の王者誕生) ツアー屈指の人気を誇る石川遼(当時24)が、ショットを軸とした攻撃的なゴルフで初の日本タイトルを手にした。初日は68。不規則な強風が吹いた2日目も68。3日目はアイアンがさえて10バーディー、3ボギーの63をマークして後続に3打差をつけて単独首位に。最終日もドライバーを思いきり振り抜き67で唯一4日間60台を並べ、5打差の圧勝。国内メジャー通算24戦目の初制覇で「平成生まれ」初の大会王者となった。