22歳の蝉川泰果、涙の史上最年少V 中島、石川遼、金谷との死闘制し「びっくりしている」 プロアマで史上初メジャー2冠 …日本シリーズJTカップ最終日


初優勝した蝉川泰果は優勝杯を手に笑顔(カメラ ・岡野 将大)

初優勝した蝉川泰果は優勝杯を手に笑顔(カメラ ・岡野 将大)

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 最終日(3日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 最終日が行われ、首位から出た22歳の蝉川泰果(フリー)が4バーディー、2ボギーの68で回り、通算15アンダーで第60回大会覇者に輝いた。優勝賞金4000万円を獲得し、今季賞金ランクは獲得総額1億6581万9749円の2位となり、来季の欧州ツアー出場切符を手中に収めた。

 アマチュアで22年10月の日本オープンを制し、プロとして男子ツアーのメジャー、日本シリーズJTカップを初制覇。1981年の羽川豊が23歳363日で記録した大会最年少優勝を22歳326日で更新し、アマ、プロでのメジャー2冠は初の快挙となった。

 今季賞金王の中島啓太(フリー)、2015、19年大会覇者・石川遼(カシオ)との最終日は死闘だった。2打差3位から出た石川が前半でスコアを2つ伸ばして猛チャージ。蝉川は前半を通算14アンダーで折り返し、14番パー4で第2打を左50センチに寄せ、バーディーとし、2位以下に1打差をつける通算15アンダーで単独トップに踊り出た。16番のボギーで一歩後退したが、17番で再びバーディーを奪い返して通算15アンダーで単独首位となり、最難関の最終18番を迎えた。前組の金谷拓実(Yogibo)が18番をパーで締めて通算14アンダーでホールアウト。石川は一時は2位に浮上したが、後半に3ボギー、1ダブルボギーと大失速してV争いからほぼ離脱となっていた。

 18番の第1打は、蝉川が右手前ラフにいれ、中島は左手前のラフに。蝉川は約20ヤード残った第2打をウェッジで打って、約50センチ手前に寄せて、真横から沈めて優勝を決めた。優勝が決まると中島、石川から祝福され、目を赤くした。

 日本一の称号を奪うため今大会で比嘉一貴を4勝で賞金王に導くなど男女通算11勝の実力者、岡本史郎キャディーとタッグを組んだ。日本シリーズは13回バッグを担ぐなどコースを知るブレーンの力も借りて好スコアにつなげた。持ち前の攻撃的なゴルフで60回目となった伝統大会に挑んだ。初日の7位発進から2日目に2位に浮上。3日目は2イーグルの“泰果チャージ”で、独走だった賞金王の中島啓太(フリー)の背中を捉えて首位に浮上した。ウェアの色もこだわった。初日は好きな色のピンク、2日目は黒、3日目は白、この日の最終日は母校・東北福祉大のカラーである黄色の“必勝ローテ”で最終戦に臨んだ。

 大混戦にピリオドを打ち、優勝インタビューでは「すごく自分でもビックリしている。(石川、中島は)すごいスーパースター選手なので負けないように一つでもいいショットをと、必死に打って優勝できたのでびっくりしている」と第一声。勝負を分けた最難関の最終18番は、第2打のアプローチが光った。強く振って「いちかバチかだった。打った瞬間に手応えがすごくあったので『きたな!』と思った」。最年少V記録では「大阪だったり、いろんな皆さんのおかげ」と感謝を述べると、感極まって涙を流した。大勢の観客にも感謝し「(来年は)今年よりも進化してすごいスーパープレーがもっと生まれる思う。テレビを見ている方もぜひ会場に足を運んで、会場で応援してくれるとうれしい」と話した。

 ◆蝉川泰果(せみかわ・たいが)2001年1月11日、兵庫・加東市生まれ。22歳。1歳からプラスチック製クラブでゴルフを始め、兵庫教大付中から大阪・興国高を経て東北福祉大。高校2年時に関西ジュニア、高校3年時に国体優勝。22年度アマチュア日本代表。22年9月のパナソニックオープンで初優勝し、10月の日本オープンで史上初のアマ2勝目。11月にプロデビュー。175センチ、77キロ。家族は両親と姉。

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