鈴木愛、一時は引退覚悟から復活の道 過去6人しかいない「永久シードを目指したい」


通算16アンダーで優勝しトロフィーを掲げる鈴木愛(カメラ・今西 淳)

通算16アンダーで優勝しトロフィーを掲げる鈴木愛(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー 明治安田レディス 最終日(10日、高知・土佐CC=6273ヤード、パー72)

 2017、19年賞金女王の鈴木愛(セールスフォース)が4バーディー、2ボギーの70で回り、2位に6打差をつけて通算16アンダー。4日間大会では自身初の完全優勝を地元・四国で達成した。21年オフには引退を考えたという実力者は、昨年8月以来の通算19勝目を挙げ、30勝で得られる過去6人しかいない永久シードに意欲を示した。

 鈴木が6打差で圧勝した。「4日間通してショット、パットが安定していた」。大会を通じてのパーオン率は全体2位の79・17%。この日序盤2、3番の連続ボギーで一時は後続に2打差に詰め寄られたが、後半に3バーディー。5メートル超を決めた「9番のパーパットが大きかった」とうなずいた。

 クラブを握らない期間に充てる昨年12月から、「今までは嫌々だった」というトレーニングをケアの時間も入れて一日3時間、週4~5日行った。「今までのトレーニング量ではなかなか若い子たちに追いつけない。30代でも年間女王を目指してやっていきたい。やるからには一番になりたい」。体力強化の効果でアップダウンのあるコースにも動じず、「19回優勝して、こんなに疲れがないのは初めて」と満足げに言った。

 賞金ランク17位に終わった20―21年統合シーズンのオフに「ゴルフを辞めたかった。うまくなる様子が見えない」と一時は引退も考えたという。だが、当時師事した南秀樹コーチからの「永久シード(30勝)を目指して頑張ろう」との言葉に決意を新たにした。「周りには『続けてほしい』と言われたので、ゴルフをやるモチベーションのためにも(コーチ、トレーナーの人選など)自分の好きなようにやっていいと言われたので、少しずつ気持ちも変わってきた」と明かした。

 表彰式では「早く20勝目をして、生涯30勝にいきたい。頑張って永久シードを目指したい」と宣言した。ツアーで若手が台頭する流れについても、会見で「自分もまだまだ伸びしろがある。若い選手には体力的に負けても、経験は積んでいる。まだ負けねーぞ」と笑った。

 今年1月1日に発生した能登半島地震の被災地には義援金1000万円を寄付した。「困っている人がいれば、そういう活動をしたい。食事、洋服、日用品が少しでも多くの方に渡れば」と社会貢献への思いも語った。同2日に羽田空港衝突事故が起きたことにも触れ「自分も飛行機に乗ることが多い。いつ自分の人生が終わっても後悔しないようにやりたいと思った。そこから、練習、トレーニングもしっかり積みたいなと思った」と語った。

 5月9日に30歳を迎える鈴木は「(30代を)楽しく送りたい。やりたいことをやれている環境が当たり前ではない。その環境を作ってくれていることに感謝することでゴルフを楽しむことができている」と穏やかな表情を見せていた。

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