最速賞金3億円突破の金谷拓実、欧州転戦中の中島啓太と励まし合う合言葉「JKG」


開幕戦を制した金谷拓実が優勝カップを手にする(カメラ・豊田 秀一)

開幕戦を制した金谷拓実が優勝カップを手にする(カメラ・豊田 秀一)

◆男子プロゴルフツアー開幕戦 東建ホームメイトカップ 最終日(31日、三重・東建多度CC名古屋=7069ヤード、パー71)

 第3ラウンド(R)の残りと最終Rが行われ、単独首位で出た金谷拓実(25)=Yogibo=が最終Rを7バーディー、1ボギーの65で回り、大会記録の通算23アンダーで逃げ切った。昨年9月以来の通算6勝目で、ツアーメンバーで最速に並ぶ所要52試合での生涯賞金3億円を突破。今季主戦場とする予定だった欧州ツアーに出場がかなわない苦境も、一戦必勝の姿勢を貫き、逆転でのパリ五輪出場を目指す。生源寺龍憲(25)=エー・エム・エス=が21アンダーで2位だった。

 一日26ホールの長丁場を終え、18番でボギーパットを沈めた金谷は、安どの表情を見せた。開幕戦では3年ぶりとなる2勝目に「前回は無観客だったが、今年はたくさんのギャラリーの前で優勝できてうれしい」。仲間からのウォーターシャワーの祝福に「冷たかった」と苦笑した。

 残り8ホールだった第3Rを、64のベストスコアで単独首位に浮上した。最終Rも前半に5バーディーの猛攻で65。今大会4日間のパーオン率86・11%(全体2位)とオフにスタンスを狭くした得意のパッティングがかみ合い、「ピンを狙うショットが安定していた。チャンスに多くつけられた」と胸を張った。

 昨季国内賞金ランク3位で欧州ツアーメンバーとなったが、出場優先度は賞金王の中島啓太(23)より37人分も低い。冬場から出場見通しが立たず、悔しい思いをした。「もっと出られると思って準備をしてきたが…。そうなったのも去年の結果」と受け入れるしかなく、今年はアジアンツアーを転戦してきた。

 アマ日本代表時代からの盟友で欧州転戦中の中島とは、今週も「ジャスト・キープ・ゴーイング」(前進あるのみ)の頭文字「JKG」のメッセージを送り合う仲だ。「目の前の一試合一試合で結果を出すだけ。優勝すれば状況は変わる」と自らを奮い立たせた。

 世界ランクは138位から117位前後に浮上の見込み。パリ五輪切符が得られる上位2枠入りへ「まだチャンスがある。とにかく勝ち続けたい」と誓った。生涯獲得賞金も池田勇太に並び、52試合の最速で3億円を突破した。次戦は日欧共催のISPSハンダ欧州・日本トーナメント(25日開幕、静岡)。「ISPSもチャンスが多い試合なので、今週のようなプレーを続けられれば」。ライバルの存在にも刺激を受け、優勝を重ねて未来を切り開く。(岩原 正幸)

 ◆男子ゴルフのパリ五輪への道 24年6月17日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイントの上位60人が出場権を得る。〈1〉同ランク15位以内は各国・地域で最大4人。〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含めて最大2人が出られる。五輪本大会は24年8月1日から4日間、フランス・ル・ゴルフナショナルで、72ホールストロークプレーの個人戦で争われる。21年東京五輪は松山英樹が4位、星野陸也は38位。

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