ロリー・マキロイがマスターズで史上6人目のキャリア・グランドスラム達成に挑む 「誰よりも僕が勝ちたい」


 男子ゴルフの2024年メジャー初戦、マスターズは4月11日から4日間、米ジョージア州オーガスタナショナルGC(7555ヤード、パー72)で開かれる。米ツアー通算24勝で世界ランク2位のロリー・マキロイ(34)=英国=は、史上6人目の「キャリア・グランドスラム」へ向けた10度目の挑戦を迎える。

 世界屈指のショットメーカーが、今年も優勝候補としてオーガスタの森に戻ってくる。身長は178センチながら、鍛え上げた肉体から312ヤード超えのビッグドライブを連発する運動神経抜群の34歳。2009年にプロ転向すると、23歳だった12年に欧州ツアー、米ツアーで賞金王となり、世界ランク1位に輝いた。「ウッズの後継者」と注目を集め、13年からナイキ社と大型契約を締結。4大メジャーは11年の全米オープン、14年の全英オープン、12年&14年の全米プロ選手権を制し、計4勝を挙げてきた。もしマスターズを制すれば、男子では2000年のタイガー・ウッズ(米国)以来6人目の4大メジャー全制覇の快挙となる。

 14年にメジャー4冠に王手をかけて以降、マスターズでは15年4位、16年10位、17年7位、18年5位、19年21位、20年5位と毎年のように上位争いを演じているが、22年の2位が最高成績だ。勝者に贈られるグリーンジャケットには、いまだに手が届いていない。

 21年、23年のマスターズでは予選落ち。マキロイがマスターズで勝てないのは「必要な技術やパワーは兼ね備えており、精神的な問題」と指摘する専門家が多い。11年のマスターズで、大チャンスを逃したことが尾を引いている。初日から65、69、70と首位を走って最終日を4打リードの単独首位で迎えた。ところが、後半に入って10番で5オン2パットのトリプルボギーで首位陥落。さらに、「神様に祈るほど難しい」と呼ばれる「アーメンコーナー」に入ると、11番パー4は3パットのボギー、12番パー3は4パットのダブルボギーなど、まさかの「80」の大崩れで、通算4アンダーの15位に終わった。「前半、パットがあまりにも決まらなくて自信をなくしてしまった。これがメジャーの日曜日。ものすごく悔しい。僕にとって初めての経験。本当に残念だ」と涙を流した。

 悲願のオーガスタ制覇に向けて、今年は調整の方法を変えて臨もうとしている。「マスターズは、誰よりも僕が勝ちたいよ」と24年は既に欧州DPツアーと米ツアーを合わせて9試合に出場。例年よりも3試合多く実戦をこなし、実戦感覚を研ぎ澄ませる狙いだった。

 今年2月以降に出場した米ツアー5戦では、アイアンショットが不調でトップ10入りは1度もなかった。3月には、タイガー・ウッズ(米国)のコーチを長年務めてきた80歳のブッチ・ハーモン氏に、アイアンのスイングについて助言を受けた。マスターズ前週のテキサス・オープン最終日に「66」をマークするなど、通算11アンダーの3位に入り、上り調子で夢舞台を迎える。さらに、今年はマスターズ週の水曜日恒例のイベント「パー3コンテスト」も欠場予定だという。メジャー初戦のマスターズに向け、ピークを合わせるべくマキロイの試行錯誤が、今年こそ実を結ぶのか注目される。

 ◆ロリー・マキロイ 1989年5月4日、英・北アイルランド生まれ。34歳。ゴルフを始めた2歳で40ヤードのショットを放った逸話を持つ。2006年欧州アマを制し翌年、プロ転向。09年、欧州ツアーのドバイ・デザート・クラシックでプロ初優勝。12年には欧州、米の両ツアーで賞金王となり、世界ランク1位に。欧州ツアー通算10勝。178センチ、73キロ。

 ◆キャリア・グランドスラム マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロ選手権の4大メジャーを制すること。これまでにジーン・サラゼン(米国)、ベン・ホーガン(米国)、ゲーリー・プレーヤー(南アフリカ)、ジャック・ニクラウス(米国)とタイガー・ウッズ(米国)の5人が達成。フィル・ミケルソン(米国)、ジョーダン・スピース(米国)の2人もそれぞれ全米オープン、全米プロ選手権を残す形で4冠に王手をかけている。同一年度の4大会4連勝した選手はいない。

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