熊本生まれの21歳、震災8年の節目に地元で初V「まさか自分が」 “ダイヤモンド世代”5人目のツアー制覇


ツアー初優勝を果たし、岩井明愛(左)に祝福される竹田麗央 (カメラ・豊田 秀一)

ツアー初優勝を果たし、岩井明愛(左)に祝福される竹田麗央 (カメラ・豊田 秀一)

◆女子プロゴルフツアー KKT杯バンテリンレディス 最終日(14日、熊本空港CC=6518ヤード、パー72)

 首位と3打差の3位から出た竹田麗央(りお、21)=ヤマエグループHD=が3バーディー、1ボギーの70をマークし、逆転で初優勝を果たした。地元・熊本県出身で2016年の震災から8年を迎えた日に今季4度目の優勝争いを演じて悲願成就。2003年度生まれの「ダイヤモンド世代」からは5人目の優勝者が誕生した。連覇を目指した岩井明愛(あきえ、21)=ホンダ=は77と崩れて10位に終わった。

 悲願の初優勝に涙はない。竹田はウィニングパットを沈めると、満面に笑みがあふれた。「観戦に来ていた大会で、まさか自分が優勝できるなんて」。小学1年時から回り、知り尽くしたコースで手にした1勝は格別だった。熊本地震から8年。「すごく怖かったのを覚えている」という当時は中学1年でこの大会のボランティアの準備をしていただけに、「熊本の皆さんの前で初優勝ができて、すごくうれしい」と思いがあふれた。

 11番でバーディーを奪って首位に並んだ。13番で岩井明がスコアを落とし、単独首位に浮上したが、15番で大ピンチを迎えた。第2打をグリーン右奥バンカーに入れ、さらに3打目はグリーンを越えてラフへ。アプローチは10ヤード。「ボギーで上がることだけを考えていた」と無欲の一打はカップにスルリと吸い込まれて、チップインパー! 「流れが来ている」と初めて「優勝」の2文字が浮かんだ。

3度のV逸を乗り越えて強くなった。今季7試合で4度目の最終日最終組となった。これまでの敗因は「いつも気合が入りすぎて」。勝因は「今日は何も意識しないでプレーしたから力が入らなくて良かった」。2週前のヤマハレディースは逆転負け。大粒の悔し涙を「すごくいい経験になった」と成長の糧にした。

 背中を押したのが、元賞金女王の叔母、平瀬真由美(54)の今大会前の一言、「優勝は自然に来る。勝とうと思ったらすり抜けるよ」。テレビ中継の解説者として見守った平瀬は「良かったと思う。すぐに勝って勘違いするより、たくさん悔しい思いをした方が強くなれる。今まで以上に自分を磨いてほしい」と目を細めた。

 今後の大きな目標は、米ツアー挑戦だ。「(日本で)10勝してから、3年後くらいには行きたいと思っている」と構想を練っている。「来週からもたくさん優勝争いをして、2勝目を早く挙げられるように頑張ります」。殻を破った21歳は快進撃を誓った。

(富張 萌黄)

◆竹田 麗央(たけだ・りお)アラカルト

 ▽生まれ、サイズ 2003年4月2日、熊本・合志市生まれ。21歳。166センチ、66キロ

 ▽家族 母は元プロゴルファーの哲子(さとこ)さん(55)。父・宜史(たかし)さん(50)、兄・有男(ゆうた)さん(23)、弟・征士朗さん(18)の5人家族。1993、94年の賞金女王・平瀬真由美(日本ツアー18勝、米1勝)は母の妹

 ▽ゴルフ歴 6歳の時、母の影響でゴルフを始め、熊本国府高1年時の19年九州ジュニアで優勝。21年11月のプロテストに合格し、22年からツアー参戦。昨季はポイントランク22位で初のシードを獲得

 ▽名前の由来 母が経営するゴルフショップに来店した客が「リオのカーニバルはすごい」と話していたため

 ▽趣味 キャッチボール、野球観戦。好きな選手は巨人・坂本勇人内野手

 ▽スポーツ歴 水泳、ダンス、陸上

 ▽憧れの選手 イ・ボミ(韓国)、ロリー・マキロイ(英国)

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