天本ハルカ「フワフワ」初V!女子ゴルフ黄金世代15人目優勝者はプロテスト5度目で合格の苦労人「複数回優勝を」


ツアー初優勝を果たし、笑顔でトロフィーを手にする天本ハルカ(カメラ・今西 淳)

ツアー初優勝を果たし、笑顔でトロフィーを手にする天本ハルカ(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー パナソニックオープン 最終日(28日、千葉・浜野GC=6669ヤード、パー72)

 首位タイで出た本格参戦3年目の天本ハルカ(25)=フリー=が7バーディー、1ボギーの66で、大会記録の通算19アンダーでツアー初優勝。プロテストに4度失敗した苦労人が1998年度生まれ「黄金世代」で15人目の優勝者となった。今季9試合目で全体1位のトップ10入り7回。得意のショットと、高校時代から師事する2001、03年賞金王の伊澤利光(56)とオフに磨いた小技で急成長を遂げた。尾関彩美悠(あみゆ、20)=JFEスチール=ら3人が2打差2位だった。

 夏日の混戦を抜け出し、格好良く初優勝を決めた。18番パー3。天本は第1打を右のバンカーに入れたが、最後は2・5メートルのパーパットを沈めた。何度も右拳を揺らし「なかなか実感が湧かず、フワフワしているけどうれしい」と喜んだ。

 通算79戦目で自身初の最終日最終組。3人が並ぶ首位で出て3番で一歩抜け出すと、8番から怒とうの5連続バーディーを奪った。一時は4打差。13番ボギーなどで後続に1打差に詰め寄られた17番で2メートルを決め、突き放した。「ひと安心した。(18番のパットは)すっきりした気持ちでラインも見えていた。自信になった」と息詰まる終盤を回想した。

 98年度生まれ、黄金世代で通算15人目のV。3月に臼井麗香(25)が勝ち「周りから『次は(今季好調の)ハルカの番だね』と言われ、重圧もあったと思う」と母・結子(ゆいこ)さん(54)はまな娘を思いやった。昨年までは5位が最高だった天本は「同世代に刺激をもらっていた。いつか追いつこう、追い抜こうと、まずは1勝できた」とかみ締めた。

 21年11月。5度目のプロテスト挑戦でようやく合格した。「5回目で通らなかったらやめようと母とも約束していた。皆合格して、焦りもあった」と当時の心境を口にした。「テストの経験は今でも生きている。決して無駄ではなかった」。昨年は初シード。本格参戦3年目の今季はトップ10の常連にまで飛躍を遂げた。

 オフは、高校時代からの師匠・伊澤=写真=の指導で30~40ヤードのアプローチを磨いた。「勝てる選手だから。上を目指して頑張れ」と励まされ、「最高の教材」というレジェンドから学んだ。リカバリー率は昨季64・2%(ツアー29位)から71・7%の同5位まで改善し、パーセーブ率89・9%は今季堂々の3位。「もったいないミスが減り、安定してアンダーが出せている」と分析する。

 国内メジャー初戦、ワールドレディスサロンパスカップ(5月2日開幕・茨城GC東C、報知新聞社後援)に向けては「明日(29日)から練習ラウンドして、しっかり準備したい」と言葉に力を込めた。「今季は複数回優勝目指して頑張りたい」。遅咲きの25歳は、メジャーの大舞台でもV争いに加わる。(岩原 正幸)

 ◆1998年度生まれの「黄金世代」

 米ツアー6勝で日米11勝の畑岡奈紗、国内10勝の小祝さくら、同8勝の勝みなみ、日米7勝の渋野日向子、国内5勝の原英莉花ら。天本は、3月のアクサレディス宮崎を制した臼井麗香に続く15人目のツアー優勝者。優勝15人は国内ツアー最多の世代。今季は小祝(1勝)を含め3勝。

 ◆天本ハルカ(あまもと・はるか)

 ▽生まれ、サイズなど 1998年7月23日、福岡・太宰府市。25歳。162センチ、58キロ。家族は母。

 ▽ゴルフ歴 8歳から始め、通信制の福岡・第一学院高卒業。19年には全米女子オープンに予選会を突破して出場。21年11月のプロテストに5度目挑戦で合格。

 ▽ダンス 幼稚園から小6までストリートダンスを経験した。

 ▽師匠 男子ツアー通算16勝の伊澤利光。高校時代に福岡のインドアスタジオに入門したのがきっかけ。今季は3月のVポイント×ENEOS(鹿児島)に同行しており、指導を受けた。

 ▽登録名 本名は遥香で「覚えてもらいやすいから」と登録名をカタカナに変更した。

 ▽ショットメーカー 今季のパーオン率77・17%は2位。「もともとはショットが苦手だったが、米女子ツアーのプレーを見てイメージを高めた」。活躍度の指標となるメルセデス・ランクは5位。

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