【母の日の伝説】茂木宏美が大会最年長でメジャー初優勝「プロゴルファーになって、本当に幸せだなあ」


サロンパスカップを手に笑顔を見せる茂木宏美

サロンパスカップを手に笑顔を見せる茂木宏美

◆女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第1日(2日、茨城GC東C=6665ヤード、パー72、報知新聞社後援)

 大会最終日が「母の日」と重なることが多いシーズン最初のメジャー。2008年にメジャー昇格後、数々のドラマが生まれてきた。その名場面を振り返る。初回は2013年大会(茨城GC西C)を制した茂木宏美。

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 2013年5月12日。2打差2位から最終日をスタートした茂木は5バーディー、1ボギーの68で回り、通算9アンダーで逆転で大会4年ぶりの日本人覇者となった。プロ12年目でのメジャー初制覇。36歳17日は、今も大会最年長V記録となっている。

 最終18番。ウィニングパットを沈めると、茂木の目に涙があふれた。1万1021人の大ギャラリーを熱狂で包み、グリーンを降りると、夫の窪田大輔さん(当時31)が待ち受けていた。「プロゴルファーになって、本当に幸せだなあって」と茂木。2人は20秒間固く抱き合い、メジャーVの喜びをかみしめた。

 1番で2メートルにつけてバーディー発進。5番で首位をとらえると後は突き放す一方だった。8番で4メートルのパーパットをねじ込み「勝利の女神が私の方を向いている」と確信。4打差をつけて最終ホールを迎える盤石のゴルフを披露した。

 最終日は「母の日」。群馬・みどり市で「鹿の川食堂」を営む茂木の父・太三男(たみお)さん(当時67)、母・サト江さん(当時66)も応援に駆けつけ、歓喜の瞬間を見届けた。茂木は「私を産んでくれた母とゴルフばかりしていることを許してくれる主人の母に『ありがとう』って言いたい」と感謝した。サト江さんは「小さい頃から毎年、母の日にはカーネーションの花をプレゼントしてくれた。今年も素晴らしい贈り物をもらいました」と目を潤ませた。

 若年化の進む女子ゴルフ界で、メジャー昇格後では08年の福嶋晃子の34歳を更新する大会最年長Vとなった。今大会の平均飛距離は236・75ヤードで50位。それでも、飛距離不足を用具とマネジメントで補った。ドライバーの他にウッドを5本(3、5、7、9、11)入れてパワー不足を補足。9番、残り160ヤードの第2打を9ウッドで軽く振り、ピン左下2メートルにつけバーディー。パー5のホールでは練習ラウンドから刻みを徹底。得意の「50度での70ヤード」を第3打で残し5番、12番で確実にスコアを伸ばした。「若手に負けずに、これからもとことん粘ってやろうと思っています」。シード選手中4番目の年長者は、経験をもとにした頭脳的なプレーでメジャー女王となった。

 ツアーに帯同し、移動や食事など生活面をサポートする大輔さんは「結婚した当初から『メジャーに勝って、3年シードが取れたら子供をつくることを考えられるね』と話していたんです。宏美は子供ができてもゴルフを続けたいと言っているし、僕もサポートを続けたい。『ママでもメジャー』となればいいですね」と話した。

 その言葉通り、14年2月に第一子の長女・和奏(わかな)ちゃんが誕生。茂木は、ママさん選手として16年までツアー転戦を続け、39歳でツアーを撤退した。現在はゴルフ中継の解説に、日本女子プロゴルフ協会でトーナメントコースセッティングも担当。今大会もコースセッティングを担い、自身の経験も生かして難設定の春のメジャー舞台を演出している。

 ◆茂木 宏美(もぎ・ひろみ、本名・窪田)1977年4月25日、群馬・みどり市生まれ。47歳。18歳の時に父の勧めでゴルフを始め、02年に25歳でプロテスト合格。04年のリゾートトラストレディスで初優勝し、通算6勝目。ツアーデビューの03年に賞金ランク51位となり、04年から16年まで13年連続でシード権を獲得。10年10月に結婚し、14年2月に女児を出産。159センチ。血液型B。

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