女子プロゴルフで国内通算14勝の有村智恵(36)が10日、4月に双子の男児を出産後初めて公の場に姿を見せた。年内は育児に専念し、ママさんプロとしての競技復帰は来年となる見通しを明かした。出産後はゴルフクラブを握っておらず、トレーニングもできていないという。「今年中は絶対無理なので、来年どこかでなのかな。もちろん今は復帰というのが目標の一つで、その先の結果っていう部分は言えない段階なんですけど、もし(主催者)推薦をいただけるならそれに恥じない状態で迎えられるようにしたい」と今後の構想を言及した。
11日はツアー外競技の「KURE Lady Go Cup(茨城・取手国際GC)」で解説を務める。この日は子供たちとともに訪れ、コース内に設置された託児所を初めて利用。「実際に預けるところを見て、ここだったらストレスなく子供たちも過ごせるかなと思う。これから当事者としても意見交換して、より良い環境を作っていきたい」と早くも良さを実感していた。現在は生後3か月になる愛息の子育てに追われ、「今は完全に子供を一生懸命育てている段階。まだ教育というよりは生かすための子育て。毎日文字通り、ミルクあげておむつ替えて、ミルクあげておむつ替えてという感じ」と慌ただしくしているというが、幸福感に満ちた母親の表情で新たな生活の様子を明かした。
出産は地元・熊本で行い、拠点の東京には9日に初めて戻ったという。同日には親交の深い元世界ランク1位の宮里藍さん、日米通算3勝の宮里美香、国内通算9勝の諸見里しのぶさんと食事をともにした。「自分の子供を仲のいい人たちが抱っこしてくれている姿も、ずっと里帰り中に早くみんなに抱っこしてもらいたい、と思い描いていたから、それが実現した姿を見るとすごい感慨深い気持ちになった」と充実したひとときを過ごした。藍さんには妊娠中からたくさん相談していたそうで、出産後の現在も聞きたいことがたくさんあったという。だが、「会えた喜びと、あまりにも会っていなかった期間の出来事を話すだけで時間になっちゃって、ゆっくりもう一回話したい」と苦笑いで振り返った。
今大会は24人のプロがダブルス戦で、優勝賞金556万円をかけて争う。今週は国内女子のレギュラーツアーがオープンウィークということもあり、通算6勝の菊地絵理香、ツアー5勝の青木瀬令奈、通算5勝の穴井詩(らら)ら第一線で活躍する30代の選手も多く出場予定。また、今回はポイント制で行われ、「バーディーを積極的に狙っていってもらいたい、という思いを込めた」と大会の解説を務める有村は意図を説明した。
ボギーは0ポイントと減点にはならず、攻めのプレーが普段以上に可能となる。「ボギーを打っても何も怖くないから、どんどん、攻めてくださいっていう設定にしたら、どんなゴルフが生まれるのかな。30代、40代でもまた違った発見があるかもしれない。自分がこういう大会があったら、いいきっかけがつかめるかな、というプレー方式にした」。バーディー合戦が主流になっている、現在のツアーでの活躍の糸口にしてほしい気持ちがあるという。
「Lady Go Cup」は結婚や出産などを経験した30代以上の選手が中心で行われるツアー外競技。「ゴルフ業界がしっかり盛り上がっていくには、いろんな形を提案しないといけないのと思う。LADY GOはその柔軟さを生かして提案していきたい」と発起人として、今後の大会運営への思いに力を込めた。