「京都の方が暑いので」猛暑知らずの21歳がツアー新記録28アンダーで2大会連続V 宮里藍さん金言胸に


通算28アンダーで優勝し、笑顔でトロフィーを掲げる川崎(カメラ・谷口 健二)

通算28アンダーで優勝し、笑顔でトロフィーを掲げる川崎(カメラ・谷口 健二)

◆女子プロゴルフツアー 大東建託・いい部屋ネットレディス 最終日(21日、福岡・ザ・クイーンズヒルGC=6505ヤード、パー72)

 首位から出た川崎春花(21)=村田製作所=が8バーディー、ボギーなしの64で回り、通算28アンダーで爆勝した。従来のツアー最多アンダー記録(24)を4打も更新。前々週のミネベアミツミレディスから2大会連続Vで今季2勝目、通算4勝目を飾った。パリ五輪日本代表の山下美夢有(みゆう、22)=加賀電子=が4打差の2位。99ホール連続ボギーなしのツアー新記録を達成した(継続中)。優勝は逃したが、好調キープでパリに乗り込み、メダルを目指す。

 気温33度の猛暑の中のバーディー合戦。“熱すぎる戦い”を制したのは京都出身の21歳だった。

 400ヤードの13番パー4。川崎は残り167ヤードの第2打をピン上6メートルにつけ、難しいバーディーパットをねじ込んだ。その時点で通算25アンダーに到達し、ツアー記録を超えた。15番から圧巻の3連続バーディー。28アンダーまで伸ばした。

 「目標スコアは考えずに目の前の一打に集中していた。ウィニングパットを決める前に『これを決めれば優勝か』と初めてスコアを意識しました。結果的にツアー記録はうれしい」。試合がなかった前週を挟んで2大会連続の優勝を歴史的なスコアで飾り、満面の笑みで話した。

 「目の前の一打に集中」。ゴルフの基本だが、やりきることは簡単ではない。アマチュアが最終ホールでボギー以内なら初の100切りという場面で大叩きすることは「ゴルフあるある」だ。プロも例外ではない。川崎は「いくつまでスコアを伸ばせばトップ10に入れるとか、今までスコアを気にして崩れることが多かった」と正直に語る。

 ツアー初参戦した22年、19歳でメジャーの日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯で初優勝。同年、年間ランク15位と躍進したが、23年は同48位に降下。さらに今季は6月までの15試合で7回予選落ちを喫したが、6月以降に基本を取り戻した。「『目の前に集中』『自分との勝負』とかブツブツと独り言しながらプレーしています」と苦笑いしながら明かした。

 日本女子ゴルフ界のレジェンド宮里藍さん(39)の言葉も大きかった。「5月のブリヂストンレディスで話す機会がありました。『自分を知る』という言葉が印象に残った」。10代でメジャーを制したことが証明しているように技術は本物。猛暑続きのタフな条件に「(地元の)京都の方が暑いので」と苦にしない体力もある。そして、今、精神面が充実。心技体がそろい、ツアーの歴史に「川崎春花」の名を刻んだ。(竹内 達朗)

 ◆川崎 春花(かわさき・はるか)2003年5月1日、京都市生まれ。21歳。父親と姉の影響で7歳からゴルフを始める。大阪学院大高2年時に全国高校選手権春季大会優勝。21年プロテスト合格。22年のメジャー、日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯で初優勝。ツアー通算4勝。「千鳥のノブさんに似てるって言われます」。高校時代のあだ名はノブ。158センチ、51キロ。

 ◆各ツアーの最多アンダーパー記録

 ▽国内女子・通算28アンダー 川崎春花(21日に更新)。以前は24アンダーでアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)=03年ミズノクラシック(3日間大会)とテレサ・ルー(台湾)=16年大王製紙エリエールレディス

 ▽米男子・通算34アンダー キャメロン・スミス(オーストラリア)=22年セントリー・チャンピオンズ

 ▽米女子・通算31アンダー キム・セヨン(韓国)=18年ソーンベリークリーク・クラシック

 ▽国内男子・通算32アンダー チャン・キム(米国)=22年カシオワールドオープン

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