「出産前と全然違う」 史上7人目のママさんV狙う宮里美香の作戦


11番、ティーショットを放つ宮里(カメラ・今西 淳)

11番、ティーショットを放つ宮里(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー メジャー第3戦 日本女子オープン 第2日(27日、茨城・大利根CC西C=6845ヤード、パー72)

 日米通算3勝で大会2勝(2010、13年)の宮里美香(34)=ニチコン=が、37位から出て6バーディー、2ボギーの68とし、通算3アンダーで首位と5打差の8位に浮上した。22年12月に第1子長男の出産を発表し、今季約2年ぶりにツアーに本格復帰した。14年前に大利根CC東C(今回は西)で初優勝。思い出の地で、ツアー史上7人目のママさんVも見えてきた。山下美夢有(みゆう、23)=加賀電子=が8アンダーで首位。

 雨模様の難コースで、粘りが身上のゴルフを展開した。宮里は、終盤の7番で6メートルを決め、8番で20ヤードからチップインの連続バーディー。9番パー5はピンチも、90ヤードの第4打を3メートルに運び、パーでしのいだ。この日最少の68に「もう十分です(笑い)。タフな状況でメリハリがうまくできた」とうなずいた。

 プロ2年目の20歳だった2010年には、大利根CC東Cでのこの大会で2位に6打差をつけて初優勝。米ツアー参戦、結婚&出産を経験し、まだまだ第一線で戦えることを証明している。「まさか、またこうやってプレーできるなんて思ってもいなかった」。大会前日(25日)のチャンピオンズ・ディナーに出席したのは、出場選手は原英莉花(25)と2人だけ。「選手として(ディナーに)出るのはすごいこと」と実感を込めた。

 22年12月の出産から、4か月後にトレーニングを開始。地元・沖縄での今季開幕戦では「自分自身がどこまでツアーで戦えるのか証明できたら」と語った。この日は「出産前と体の疲れが全然違うので、いかに効率良くできるか」と“省エネ”をポイントに挙げた。

 首位とは5打差あるが、勝てば樋口久子(8勝)、ト阿玉(台湾、3勝)、畑岡奈紗(3勝)に続く史上4人目の大会3勝目。21年7月の若林舞衣子以来、7人目のツアー優勝(メジャーでは2人目の優勝)も見えてきた。2週前には今季2度目のトップ10入り。34歳のベテランは「しっかり守り、攻めるところは攻める。マイペースに少しずつ伸ばせたら」と難設定下で経験を生かす。(岩原 正幸)

 ◆出産後にツアー優勝した日本人選手(参考記録) 88年のツアー制施行後では森口祐子、樋口久子、木村敏美、山岡明美、塩谷育代、若林舞衣子の6人。うち、出産後にメジャーを制したのは森口(90年日本女子オープン)のみ。

 ◆宮里 美香(みやざと・みか)1989年10月10日、沖縄・那覇市生まれ。34歳。8歳からゴルフを始め、2004年の日本女子アマを史上最年少の14歳8か月で制覇。数々のアマタイトルを獲得し、沖縄・興南高卒業後、09年から米ツアーに参戦した。10、13年に日本女子オープン優勝。12年に米ツアー1勝。21年にレーシングドライバーの中山友貴氏と結婚。産休を経て今季からツアーに本格復帰。160センチ。

最新のカテゴリー記事