「自分に生かせるものがないかを常に探求していた」今季限りで第一線を退く上田桃子の戦友が明かした強さの秘訣


18番、ホールアウトし声援に応える上田(カメラ・馬場 秀則)

18番、ホールアウトし声援に応える上田(カメラ・馬場 秀則)

◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス 第2日(15日、愛媛・エリエールGC松山=6575ヤード、パー71)

 今季限りで第一線を退く、2007年賞金女王で通算17勝の上田桃子(38)=ZOZO=が通算4オーバーで予選落ちし、20年のツアープロ生活に一区切りを付けた。この日は4バーディー、3ボギーの70で意地のアンダーパー。18番グリーンでは多くの女子プロ仲間から出迎えられ、笑顔で終えた。試合後のセレモニーでは涙で声を詰まらせる場面もあった。上田と同学年で親交が深く、19年にツアー撤退を表明した諸見里しのぶ(38)=ダイキン工業=が、上田の強さや選手時代の秘話などを明かした。(取材・構成=富張 萌黄)

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 親友の雄姿を目に焼き付けた。諸見里は14日に日帰りで会場入りし、上田組について歩いた。

 「思い通りにいかない苦しいラウンドだったと思うんですけど、最後の最後まで自分を貫きながらプレーしていたのを見ていて感じました」

 小学生時代に出会った。05年のプロテストでともに一発合格を果たし、同期として切磋琢磨(せっさたくま)してきた。プロ入りして20年、上田の学び続ける姿勢が印象的だったという。

 「ゴルフに対して一生懸命で、常にうまくなるにはどうしたらいいんだろう、ということを考えているのがすごく伝わりました。自分に生かせるものがないかを常に探求していて、年数を重ねても変わらなかったです」

 諸見里は19年に第一線から離れ、20年からはコースセッティングや解説などでゴルフと関わっている。上田の最後の優勝となった22年の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンは、諸見里がセッティングを担当。立場が変わって見る戦友の優勝には、感慨深い思いがあふれたという。

 「セッティングをすると伝えた時にも『すごくいい』と背中を押してくれて、『しのぶのセッティングで勝ちたい』と言ってくれて、それが現実になった瞬間は感動しました。選手対選手の時には感じたことのない感覚でした」

 選手時代は互いに忙しく2人でご飯に行く機会は数回だけだったという。だが、19年頃に一度2人きりで箱根に温泉旅行に出かけた。その際も常に話題はゴルフのことで持ちきりだった。

 「温泉に入りながらもゴルフの話でした。私にとっても貴重な時間でもあったし、初めての2人での旅行だったので、緊張していたのを覚えています。『後輩の選手のここがすごい』という話をずっとしていた記憶があります」

 上田は今後、指導に興味があると話しており、後継者育成にも期待がかかる。同学年の諸見里も新たな道に進むことを応援している。

 「技術だけではなくいろんな知識を伝えてほしいと思います。まずは心も体も休めて、プライベートの時間を大切にしてほしい。私としては良きライバルでいてくれて、大切な友でもありますし、尊敬できる人でもあるので感謝しかない。これからも新しくチャレンジしていく、桃子ちゃんのことを応援したいと思います」

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