◆男子プロゴルフツアー カシオワールドオープン 最終日(24日、高知・Kochi黒潮CC=7350ヤード、パー72)
首位と2打差6位から出た岩田寛(43)=フリー=が逆転で今季2勝目、通算7勝目を挙げた。7バーディー、3ボギーの68で回り、通算14アンダーで6月のメジャー、BMW日本ツアー選手権森ビル杯以来、自身初の年間複数回Vを達成した。優勝賞金4000万円を加え、賞金ランクは4位に浮上し、初の賞金王の可能性を残した。ツアー史上最多6人に賞金王の可能性が残された今季最終戦のメジャー、日本シリーズJTカップ(28日開幕・東京よみうりCC=報知新聞社主催)で、史上最年長での初戴冠に挑む。
プレーオフ(PO)に備えたパッティング練習中、岩田の優勝の知らせが届いた。関係者によるウォーターシャワーから逃げると、パターを持っていた左手を突き上げた。例年は伸ばし合いについていけず、2007年の10位が最高成績だった大会を制覇。「このコースはずっと苦手だったんですけど、今日好きになりました」と話しながら、「勝因は運」とポーカーフェースは変えなかった。
シャイで口数が少なく、常にネガティブ思考な43歳は首位と2打差でスタート。前半は「内容が悪くて、勝てないなと思った」。それでも10番パー5で第3打を1・5メートルにつけて伸ばすと、11番では12メートルのバーディーパットをねじ込んだ。13番でリーダーボードを確認すると他の選手が伸び悩んでおり、初めて「優勝を意識した」という。その後も3バーディーを奪取。ただ18番では1・5メートルを外してのパーに「後悔が残りまくり」と喜びより悔しさいっぱいの自身初、年間複数回優勝だった。
9月のシンハンドンヘ・オープンから2度の棄権を含め、7試合連続で予選落ち。「部屋から出たくなくなるし、誰ともしゃべりたくない」と気持ちが落ちた。10月末に日本開催の米ツアー、ZOZOチャンピオンシップ中にやっと目が覚めた。「これ以上、下(に落ちるの)はヤバいかな」。徐々にやる気が戻ってくると、ゴルフの調子も上向いた。
優勝賞金4000万円を加算し、賞金ランクは4位に浮上し、賞金王の可能性を残した。43歳305日での初戴冠なら12年の藤田寛之の43歳169日を抜き史上最年長となる。大記録を射程に捉えたが「やることは変わらない。だから、このままでいきます」とマイペースを貫く。次週の日本シリーズは過去8度出場し、トップ5入りが4度と好相性を誇る。目標は「明日(25日)決めます」とヒロシ節。今季メジャー2冠を目指して、最後の72ホールに淡々と挑む。(富張 萌黄)
◆岩田 寛(いわた・ひろし)1981年1月31日、仙台市生まれ。43歳。シニア認定プロの父・光男さんの影響で14歳から始める。仙台育英高、東北福祉大出身。04年にプロ転向。06年に賞金ランク62位で初シード。14年フジサンケイクラシックでツアー初優勝。15年に入れ替え戦を経て米ツアーに参戦し、17年に国内復帰。好物は仙台名物・牛タンではなく豚肉。177センチ、74キロ。
◆賞金王決定の条件 次戦に可能性が残されたのは首位の平田から6位の石川まで。今平、岩田、木下、石川は優勝が絶対条件。日本シリーズの優勝賞金は4000万円、2位は1500万円のため、平田と2500万円差以内の木下までは、優勝すれば無条件で戴冠が決まる。石川は平田が3位以下の場合のみ賞金王になる。仮に平田が30位に終わった場合、金谷が逆転するには2人までの8位タイ以上の成績が必須となる。