◆報知新聞社後援 女子プロゴルフツアー メジャー最終戦 JLPGAツアー選手権リコー杯 最終日(24日、宮崎・宮崎CC=6497ヤード、パー72)
今季最終戦は、3打差の首位で出た桑木志帆(21)=大和ハウス工業=が3バーディー、3ボギーの72にまとめ、通算12アンダーで逃げ切り、完全優勝でメジャー初制覇を飾った。ツアーは8月以来の今季&通算3勝目で、3年のシード権も獲得した。さらなる飛躍を目指す来季は、海外メジャーに初のスポット参戦する意向を示し、来年末に行われる米ツアー最終予選会参戦も視野に入れる。
最終戦の優勝者を祝うフラワーシャワーを浴びたのは、21歳の桑木だった。「すごく恥ずかしかった(笑い)。初めて(初日から首位を譲らない)完全優勝できてうれしい。絶対に首位を守ってやるぞという気持ちだった」。18番、ボギーパットを入れ優勝を決めると、赤いジャケットに袖を通し、満面に笑みを浮かべた。
この日は朝からショットが本調子ではなかった。1、3番でボギー。一時は小祝に首位を明け渡したが、6番で7メートル、7番で4メートル、8番で3・5メートルの3連続バーディーを奪い再逆転した。11番は4メートルのパー。高麗芝対策でロフトを0・5度寝かせ、前週から投入した新パターが危機を救った。
22年末から指導する中村修コーチ(56)は「しのぐゴルフができるようになり、すごく成長した」と目を細める。本来はショットメーカーだが、メジャーの舞台で粘りを発揮した。17番は第1打を右に曲げたが、木に当たってフェアウェーに落ちる幸運も味方し「初優勝の時もそうだった。生まれた時から運がある方」と桑木は笑った。
地道な努力も実を結んだ。毎週月曜日は体のケアを含め、約2時間半のトレーニングで強化。ドライバーショットが昨年より20ヤード伸び、シーズン終盤にも振り負けない体力を備える。21年東京五輪で稲見萌寧の銀メダル獲得を支えた経験を持ち、桑木を診ている小楠和寿トレーナー(40)は「ストイックさが共通している」とたたえた。
この優勝で、今後へ足掛かりとなる3年シードも手にした。海外志向が強い21歳は「世界ランクを上げて、来年は海外メジャーの試合に出られるように頑張りたい」。来年末に予定される26年米ツアー参戦を懸けた最終予選会の挑戦も視野に入れている。
まずは来季、国内ツアーで主役の一人を担う。「今季3勝できて、来年は自分が引っ張っていきたいと思うが、新しい1年と思ってやりたい」と表情を引き締めた。メルセデス・ランク6位からの飛躍、そして世界へ―。40人の精鋭の中で頂点に立った自信を胸に、来季は一気に女子ツアーの勢力図を塗り替える。(岩原 正幸)