大谷の試合「見に行けたら」米女子ツアー本格参戦・竹田麗央、昨年は巨人Vからパワー「いつかは海外メジャーで優勝したい」


米ツアー参戦に向けて意気込みを語った竹田(カメラ・岩原 正幸)

米ツアー参戦に向けて意気込みを語った竹田(カメラ・岩原 正幸)

 国内女子ゴルフツアーで昨年、8勝を挙げ初の年間女王に輝いた竹田麗央(りお、21)=ヤマエグループHD=が今季、米女子ツアーに本格参戦する。30日に始まる開幕戦、ヒルトン・グランドバケーションズ・チャンピオンズ(フロリダ州)を前に、スポーツ報知のインタビューに応じ、意気込みを語った。持ち前の飛距離に加え、小技も成長中で、「いつかは海外メジャーで優勝したい」と大きな目標を掲げた。(取材・構成=岩原 正幸)

 竹田の夢舞台への挑戦が迫ってきた。本格参戦となる米ツアーの開幕戦を控え、その表情は希望に満ちあふれている。将来的な目標はメジャー制覇。なかでも比較的コースが広く、クラブを思い切り振れて、持ち前の飛距離を生かせる米国開催の3試合を心待ちにする。

 「全米女子オープンは一番大きな大会なので頑張りたい。昨年、笹生(優花)さんの優勝を18番で見て、本当にすごいと感じた。いつかメジャーで優勝したいと思うけど、もっとうまくならないと。なるべく早くしたい気持ちはあるけど、30歳になっても目指したい」

 プロ3年目の昨年は、4月の地元・熊本でのツアー初優勝から8勝と大活躍し、年間女王に輝いた。

 「こんなに優勝できると思っていなかったので、すごくびっくり。初優勝してから落ち着いてプレーできるようになった。海外メジャーに出られたり、年間女王も取れてすごく楽しいシーズン。99点です」

 ツアーで1位の263・19ヤードの平均飛距離に加え、小技も成長した。

 「ショートゲームの練習時間をこれまでより多くして、上げるアプローチも練習した。メジャー初出場した全米女子オープン(昨年6月)で飛距離は海外の選手にも引けを取らないと感じて自信になった。サンドセーブ率【注】が低かったので(約42・5%で50位)、練習してから行きたい」

 当初は「23、24歳くらい」をイメージしていた米ツアー本格参戦だったが、昨季の日米共催TOTOジャパンクラシック優勝で切符を得た。

 「日本で10勝くらいしてから行きたいと思っていた。でも、海外に行くのは早い方がいい。もともと小さい頃から米国でやりたかった。(過去最多の日本勢13人が参戦するツアーで)これまで一緒に回った選手が米国に行くので心強い」

 4月にはロサンゼルスで大会があり、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手(30)の試合を観戦する計画もある。自身は巨人ファンで、日本女子オープンの優勝前日にもリーグ制覇をテレビで見て、発奮材料とした。

 「ジャイアンツの優勝に感動して、すごくパワーをいただいた。野球が好きで、(大谷が日本にいた)小さい頃から二刀流がすごいなと思っていた。4月か8月に試合を見に行けたら。チケットはお願い中です(笑)」

 米ツアーは移動距離が長く、ほとんどが4日間競技。コースの芝質の違い、言葉、食事の面などタフな環境も楽しみな気持ちの方が大きい。

 「基本、出られる試合は全部出るつもり。1年間いろんな国でプレーして、自分のゴルフがレベルアップできればいい」

【注】グリーン周りのバンカーから2打 以内でカップインする確率

 ◆米女子ツアーの出場資格 1月末~12月まで35試合が組まれ、賞金総額は1億3100万ドル(約200億円)以上。一部を除き、各試合の出場人数は120~150人程度。出場優先順位は、前年の年間獲得ポイント上位80人が最も高いカテゴリー1。昨年のTOTOジャパンクラシック優勝の竹田はカテゴリー7。岩井姉妹や吉田優利、馬場咲希ら最終予選会通過組は、年間獲得ポイント81~100位の準シード組より低く、カテゴリー14となるため、優先順位は137番目以降になる見通し。日本勢は笹生優花や渋野日向子、古江彩佳ら過去最多13人が本格参戦する。

 ◆竹田 麗央(たけだ・りお)2003年4月2日、熊本・合志市生まれ。21歳。6歳の時、母の影響でゴルフを始め、熊本国府高1年時の19年に九州ジュニアで優勝。1993、94年の賞金女王・平瀬真由美は母の妹で叔母にあたる。21年11月のプロテストに合格し、翌年からツアー参戦。24年はメジャー2連勝を飾るなど年間8勝を挙げ、21歳222日の年少3位で初の年間女王に輝いた。趣味は野球観戦。166センチ。家族は両親と兄、弟。

 【取材後記】 竹田の取材は、午前中はテレビ各局の収録。午後はペン記者の合同&各社の個別取材を受ける形で行われた。シーズンオフでプロアマの仕事なども入る中だったが、疲れも見せずに「楽しみな気持ちが大きい」と、開幕が待ち遠しそうな姿が印象的だった。

 選手のレベルの高さ、広大な米本土を転戦する移動距離の長さ、食事面、言葉、芝の質の違い…。成功に必要な要素は数多くあるが、昨季トップの263.19ヤードの飛距離、持ち前の適応力で十分通用すると思っている。

 今季からの米ツアー挑戦を決めたのが昨秋。父・宜史さんが「口数が多いタイプではないが、口に出したことは決まっているなと感じた」と語るように、芯の強さもある。このオフはゆっくり考える時間も取れないほど多忙だったが、本人は「あんまり考えても一緒なので」と意に介さない。心身のタフさに加え、必要なものを取捨選択できる決断力も、米ツアーでの成功へとつながるに違いない。(正)

最新のカテゴリー記事