史上初めてゴルフのジュニアメジャー4冠を達成し「天才少女」と呼ばれる須藤弥勒(13)=ゴルフ5/太陽自動車=が練習中の歯の保護のために特注のピンク色のマウスガードを作成したことが13日、分かった。
現在、体の成長期の弥勒はヘッドスピードも急上昇中。ほぼ毎日、ドライバーショットを200~300球も打ち込むため、奥歯の一部が欠けたという。父・憲一さん(51)は「弥勒がドライバーショットで改心の一撃が出た時に歯の欠けらで口からこぼれ落ち、驚きました。すぐに専門家の意見を聞く必要性を感じました」と明かす。
地元の群馬・太田市の「ふじ医科歯科クリニック」に相談したところ、普段の練習でマウスガードの使用を勧められた。同クリニックの板橋彰子院長は「スポーツやっている小中高生の多くは力を入れる瞬間、自分の想像以上に歯を強くかみ締めています。その結果、歯が欠けるなどの障害に見舞われることがあります。その時に問題がなくても、年齢を重ねた後、スポーツをしていた時の強くかみ締めていたことの弊害が出ることもあります」とマウスガードの重要性を説明した。
「歯が欠けてしまったとき、びっくりしました。マウスガードを着けることで思い切り練習できます」と弥勒は安心した様子で話した。憲一さんは「昔、プロ野球選手が100万円以上でマウスガードを作成したという話を聞いており、それくらいの金額をスポンサー料の中から支出することを考えていましたが、今はその10分の1ほどで本格的なマウスガードを特注で作成できました。弥勒も私も満足しています」と話した。
野球界などではマウスガードやマウスピースを着用する選手が多いが、ゴルフ界では2012年に日本男子プロツアーの東建ホームメイトカップで尾崎直道がラウンド中にマウスピースを使用し「プレーヤーの援助」にあたるとして失格処分を受けたことがある。弥勒は「試合ではマウスガートを使用しないので、練習で使用している時と試合で使用しない時の感覚の違いを調整する必要があります。練習では歯を食いしばって飛距離を伸ばして、試合ではリラックスしてコントロールを重視します」と思案しながら話した。
好きなピンク色のマウスガードは、すでにお気に入り。「試合に出る時、マウスガードを外すことを忘れないようにすることが一番、大事です」。弥勒は白い歯ならぬピンクのマウスガードを見せて話した。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。13歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17年に大会史上最年少で世界ジュニアに優勝。18年も連覇した。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。22年8月に横峯良郎氏に弟子入り。22年1月からアマチュアも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで、ダブル所属契約のゴルフ5と太陽自動車をはじめ計16社に推定総額3億6000万円以上の支援を受けている。家族は父、元フィギュアスケート選手でピアニストの母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。