芹澤信雄の目 「マキロイの実力は世界でNO1」 松山英樹へ期待「今年はもう1勝、2勝できる」


◆米男子プロゴルフツアー マスターズ 最終日(13日、ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC=7555ヤード、パー72)

 2位に2打差の首位で出たロリー・マキロイ(英国)が、通算11アンダーで並んだジャスティン・ローズ(英国)とのプレーオフを1ホール目で制して初優勝し、史上6人目のキャリアグランドスラムを達成した。2021年覇者の松山英樹(LEXUS)は66で回り、通算2アンダーの21位だった。今大会を生中継したTBSで解説を務めたプロゴルファーの芹澤信雄が、マキロイや松山のプレーを総括した。(取材・構成=星野 浩司)

 マキロイの最終日はドラマがありすぎて、見ていて疲れましたね。

 ショットが良かった中、13番のダブルボギーは『何で?』って感じだった。セカンドショットを(残り78ヤードと)あまりにも深い場所に刻んだけど、マキロイはあそこからあまり刻んだことはない。ちょっと計算ミスだったと思う。つま先上がりで体がふわっと浮いて右へふかし、クリーク(小川)に入れた。あの状況では左に打っていければ良かったけど、完全にミスショットだった。マキロイでもプレッシャーを感じた一日だったんでしょうね。

 14年前のマスターズで、4打差の首位で迎えた最終日に80と崩れて15位に終わった記憶は絶対に頭にあったと思う。10番で一時、14アンダーにした時はマキロイで(優勝が)決まったと思ったけど、アーメンコーナーは本当に怖い。最後の18番では、残り125ヤードの第2打を少しフェースを開いて“置きにいった”感じでバンカーに入れて、1・5メートルのパーパットを外した。普段の彼ならありえない。我々では想像もできないようなすごい重圧を感じていたと思うけど、よく勝利をつかんだ。マスターズへの強い思いを感じた。

 マキロイは今年は(米ツアーで)6戦で3勝していて、ショットも素晴らしい。実力は世界でNO1になってもいい選手。これだったら、またマスターズで勝てると思う。期待したい。

 松山選手は、79と崩れた3日目のプレーが信じられなかった。本人もミスをしたくてしたわけじゃないけど、かみ合わないまま全て終わっていた感じだった。本人も「来年のために頑張ります」と言ってた中、最終日に7バーディーでしっかり取り返した。手首を痛めた影響も少なく、ショットのブレはそんなに見られなかった。来年に向けて素晴らしいプレーを見せた。

 今大会は、3日目にショットも乱れてパターも悪く、集中力も多少なくなっていた。でも、2日目と最終日は松山選手の良さが全部出ていた。ドライバーはほとんどフェアウェーに打てて、ショットはほぼパーオン。前の試合まで外すことが多かった3メートルくらいのパットがいい感じで入った。

 マスターズで2回勝ちたいという気持ちも強いし、最終日を終えた後に「来年のためにいいスコアが出せた」と言っていた。この大会にかける思いはすごいと思う。みんなに注目されてプレッシャーが大きく、日本の選手で1人しか出ていない状況で自分の姿を後輩に見せたかったと思う。最後はしっかり存在感を示してくれた。

 最終日のスコアを見ると、オーガスタは絶対に松山選手に合っていると思う。マスターズを目標にしながら、自分のやるべきことを練習するタイプだと思う。来年のマスターズでも優勝を期待したい。ショットの精度が高いので、今年はもう1勝、2勝できると思う。(プロゴルファー)

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