【オーガスタ(米ジョージア州)14日=高木恵】男子ゴルフのメジャー初戦、マスターズは13日に幕を閉じた。21位だった2021年大会覇者の松山英樹(33)=LEXUS=は、最終日に日本人歴代最多4度目のベストスコアとなる「66」と巻き返すなど奮闘。前回、同じコース開催時に優勝争いを演じて5位だったメジャー第2戦、全米プロ選手権(5月15~18日、クウェイルホローC)に向けた松山の現在地を担当の高木記者が「見た」。
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大会4日前の日曜日にコースに姿を見せた松山の体は、一目瞭然と言えるほど上半身が締まっていた。今季は開幕戦のザ・セントリーで優勝し、例年以上にマスターズに向けた準備に時間を費やすことができた。プレーヤーズ選手権後の2週間は、ほぼオフなくトレーニングとラウンドに時間をつぎ込んだ。2戦連続予選落ちを経てのオーガスタだったが、ゴルフの状態は良好だった。
試合後も練習場で球を打ち込むことが多い松山が大会全日、確認作業を一切せずに直帰した。最終日に「今日と2日目のショットは、勝った時と同じくらいの精度は保てていると思う」と手応えを明かした。73だった初日も、内容はスコア以上のものだった。4日間通じてのパーオン率は80・56%で全体1位を誇った。
一方、パット数は計127で決勝進出者最下位の52位に低迷。グリーン上での打開策を探っている。スタート前の練習グリーンで、左足一本で立ち球を転がす、右手一本で打つといった練習法を取り入れ、ストローク時の体の重心を確認。スタンスの幅は前週のテキサス・オープンから狭くなり、大会中は内股気味に構える変化も見られた。
マスターズがゴルファーにとってどれほど特別な大会か、今回の勝者ロリー・マキロイ(英国)の涙を見ても分かる。今大会は4年ぶりに日本勢一人の出場だった。日本の期待を背負い、戦う重圧もあっただろう。松山にとっては勝つか負けるかの一戦ながら、大会11年連続、メジャーでは出場19大会連続となる決勝ラウンド進出は、世界的偉業と言える。
次は5月の全米プロに向かう。会場は17年最終日に一時トップに立ちながら5位だったクウェイルホローC。「(メジャーを)勝てる人になりたい」と涙を流した因縁の地だ。オーガスタでの14度目の戦いを終えると「やっと内容も伴ってきた。結果を出すために、どうつなげていかなきゃいけないかを考えてプレーしていけたら」と先に目を向けた。あれから8年。メジャーチャンピオンとして、リベンジに挑む。
◆松山の17年全米プロ 第1ラウンド(R)は、15メートル以上のロングパットを2度沈めるなど1アンダーの70で首位と3打差の15位発進。第2Rは海外メジャー自己ベストスコア(当時)64で首位に浮上した。第3Rは酷暑の中、73で1打差2位に後退。最終Rは前半に1つ伸ばして10番で単独首位、11番まで首位をキープしたが後半に3バーディー、5ボギーとスコアを落とし72。同じ組で通算5アンダーで優勝したジャスティン・トーマス(米国)に3打及ばず5位。完全アウェーのラウンド後、タオルで顔を覆って悔し泣き。直後の世界ランクで日本男子最高の2位に返り咲いた。