
競技を終え、青木(奥右)らに見守られながらカートに乗り退場する藤田(カメラ・山崎 賢人)
◆女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 最終日(11日、茨城GC東C=6675ヤード、パー72、報知新聞社後援)
元世界ランキング1位の申ジエ(37)=韓国=が、2打差2位から出て通算7アンダーで並んだ藤田さいき(39)=JBS=とのプレーオフを1ホール目で制し、7年ぶり2度目の優勝を果たした。
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精も根も果て力尽きた。POで敗れ、緊張の糸が切れたかのように自力で立てなくなった藤田はトレーナーに担がれコースを出るとそのまま救急搬送された。
最後の最後まで立ち続けたグリーンで、見守ってくれた後輩らと抱き合うと号泣した。開幕前から発熱と体調不良に苦しみながら、過酷な4日間を戦い抜いた。
病院での新型コロナとインフルエンザの検査は陰性。軽い熱中症と診断され、コースに戻ってきたベテランは「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」と何度も頭を下げた。申とのPOを「やりきった。終わった安心感で(涙が出た)。記憶がない」と思い返した。
首位から出た最終日の奮闘を「気力でしかなかった」と振り返った。この日の気温は25・2度の夏日。日差しに体力を削られ、16番ではコース上でしゃがみこんだ。「やめるわけにもいかない」と氷袋を首に当てながらクラブを振った。
15年ぶりのメジャー優勝は逃した。だが「自分でも頑張ったなと」とネバーギブアップを見せつけた。11月22日で40歳。「単純にゴルフが好きです」と藤田。プロ20年目、勝負師の顔だった。 (森脇 瑠香)