高橋彩華、3年ぶり涙の優勝 「神様みたい」な存在の先輩に恩返しの1勝「本当にプロになって良かった」


18番、ウィニングパットを沈め、感極まる高橋(カメラ・豊田 秀一)

18番、ウィニングパットを沈め、感極まる高橋(カメラ・豊田 秀一)

◆女子プロゴルフツアー 宮里藍サントリーレディス 最終日(15日、兵庫・六甲国際GC=6558ヤード、パー72)

 単独首位で出た高橋彩華(さやか、26)=フリー=が3バーディー、1ボギーの70で回り、通算16アンダーで2022年フジサンケイレディス以来となるツアー2勝目を飾り、AIG全英女子オープン(7月31日~8月3日、ロイヤルポースコールGC)の出場権を手にした。大会アンバサダーの宮里藍さん(39)の祝福に感無量。父の日に剛さん(52)に3年ぶりの勝利を届けた。1998年度生まれの黄金世代の優勝は今季初で通算51勝目。

 1メートルを、こんなに長いと感じたことはなかった。高橋は18番で祈った。「神様、お願いします」。息ができないほどの緊張に包まれながら、必死に両腕を動かした。パーパットを沈めて後続を1打、振り切ると、途端に涙があふれた。「すごくつらい一日だった。やっとこの苦しさが終わった」。自分を信じ、重圧に打ち勝った18ホール。遠かった2勝目に、ようやくたどり着いた。

 3番パー3で流れをつかんだ。「今日はいける気がする」。グリーン右奥からのチップインバーディーが背中を押した。14番でグリーン手前からの第3打が寄らず63ホールぶりのボギーを喫したが、直後の15番で3メートルのチャンスを決めきりバウンスバック。リーダーボードは18番グリーンまで見ずに、集中力を研ぎ澄ませた。

 「神様みたい」な存在の藍さんが、表彰式でチャンピオンジャケットを着せてくれた。藍さんの国内引退試合だった2017年大会で、当時アマチュアだった高橋は予選ラウンド2日間を同組で回った。決勝に進めずに落ち込む高橋を励ましてくれたのが藍さんだった。「プロになって、自分がジャケットを着せてもらう立場になれたっていうことに、すごく胸が熱くなった。本当にプロになって良かった」。憧れ続ける先輩への恩返しの1勝にもなった。

 初出場だった22年は予選落ちだった全英女子オープンへの切符を手にした。「今年は全英でもしっかり戦いたい」と力が入る。この日は父の日。現在コーチはいないため、父・剛さん(52)が練習で助言をくれる。13日の朝にコースを離れる際、「このまま行ってこい」と背中を押してくれた。「いつも支えてもらってありがとう、と伝えたい。今日帰ったら、どんな反応をしてくれるか楽しみ」。感謝を込めた、3年ぶりの勝利だった。(高木 恵)

 ◆女子ゴルフ世代と優勝(国内ツアー) 2000年度生まれの「ミレニアム世代」では、古江彩佳(8勝)、西村優菜(6勝)、吉田優利(4勝)、安田祐香(2勝)、阿部未悠(1勝)、稲垣那奈子(1勝)が6人で計22勝。02年度生まれの活躍も目立ち、岩井明愛(6勝)、岩井千怜(8勝)、桑木志帆(3勝)、佐久間朱莉(2勝)らが優勝している。03年度の「ダイヤモンド世代」には、竹田麗央(8勝)、川崎春花(5勝)、桜井心那(4勝)、神谷そら(3勝)らがいる。

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