
第3日、63で回った蝉川
◆男子プロゴルフツアー リシャール・ミル・チャリティー 第3日(2日、石川・能登CC=7142ヤード、パー72)
26位で出た蝉川泰果(24)=アース製薬=が、ホールインワンを含むツアー最多記録に並ぶ3イーグルを奪取し、63のビッグスコアをマーク。通算16アンダーで首位と3打差の3位に浮上した。6月のBMW日本ツアー選手権森ビル杯からの出場2試合連続優勝へ逆転を狙う。河本力(25)=大和証券=が、19アンダーで初日からのトップを守り完全優勝に王手をかけた。64をたたき出した石川遼(33)=カシオ=は、13アンダーで48位から6打差11位に順位を上げた。
137ヤードの4番パー3。蝉川のピッチングウェッジでの第1打は、ピン奥1メートルに着弾した。毎試合18ホールを歩き声援を送る妻・葵さんの「戻れー!」の声に押されるように、バックスピンしてカップインした。「手応えはすごく良かった。左に振り抜く意識で振ったらピン方向に飛んでいった」。ツアー2度目のホールインワンで勢いづき、一気に優勝争いに割って入った。
一度モードに入った蝉川のチャージは止まらない。6番パー5は残り257ヤードの第2打を3アイアンでピン左5ヤードのカラーへ運び、60度のウェッジでチップイン。14番パー5ではピンまで258ヤードを3ウッドで12メートルに2オンさせ、沈めてこの日3つ目のイーグルを奪った。2023年マイナビABC選手権第1ラウンドの勝俣陵以来9人目となる18ホールでのツアー最多記録達成を伝え聞くと「本当ですか。すごいですね」と笑顔で汗をぬぐった。
思い切ったパターの変更が奏功した。前日まで使用していたものからロフト角を0・5度寝かせたものを投入。「朝の練習グリーンではうまく打てなかったけど、本番はしっかりいい形で入ってくれたので良かった」。直前まで迷ったが「今日は一新してやってみよう」と意を決した。予選ラウンドは右へ押し出すミスが目立ったが、球のつかまりが良くなり距離感もマッチした。
今季は当初、米下部ツアーに参戦していたものの、2月に肋骨(ろっこつ)の疲労骨折に見舞われ日本ツアーに専念。万全とは言えない状態で、6月のBMWツアー選手権森ビル杯を制し、地力を見せつけた。26位から3位に浮上し、同大会から出場2試合連続の勝利を視界に捉えた。「ここまで来たからには優勝を狙って、しっかり集中してやりたい」。真夏の熱戦。蝉の季節の到来だ。(高木 恵)
◆男子ツアーの過去の18ホール最多3イーグル達成者 1986年ダンロップ国際オープン第1ラウンド(R)のJ・ラトリッジ、94年PGAフィランスロピー第2Rの西川哲、97年宇部興産オープン第1Rの稲垣太成、2004年マンダムルシードよみうりオープン第4RのD・チャンド、13年タイランドオープン第1Rの蘇東、17年ダンロップフェニックス第2RのK・バーンズ、22年ASO飯塚チャレンジ第1Rの大槻智春、23年マイナビABC選手権第1Rの勝俣陵の8人。(データの残る1985年以降)
〇…石川はインスタートの裏街道から9バーディー、1ボギーの64をマーク。ぎりぎり予選通過の48位から、今季ベストに並ぶ好スコアで11位まで順位を上げた。「全体的に良かった。向き合っている課題に対しても少しずつ成長できている」と笑みを浮かべた。トップとは6打差あるが、上位の展開次第では今季初勝利も見えてくる。「まだまだチャンスはつくれる。気持ちを切り替えて諦めずにやりたい」と意気込んだ。