石川遼が忘れられない、長嶋茂雄さんの左手の「力強さ」 22歳時のセガサミーカップ「絶対いけるよ!」激励受けV


14年7月6日、「長嶋茂雄招待 セガサミーカップ」で優勝した石川(左)を祝福する長嶋茂雄さん

14年7月6日、「長嶋茂雄招待 セガサミーカップ」で優勝した石川(左)を祝福する長嶋茂雄さん

 男子ゴルフの石川遼(34)=カシオ=には、忘れられない瞬間がある。22歳だった14年7月に男子ゴルフツアー「長嶋茂雄招待 セガサミーカップ」で優勝を飾った時。3日目から現地観戦した大会名誉会長の長嶋茂雄さん(享年89)から、表彰式でトロフィーを受け取った。

 「脳梗塞(こうそく)から長いリハビリをされていたとは思いますが、左手で握手してもらった時に感じた力強さは忘れられない。常にポジティブな言葉ばかりで、(3日目に)お会いした時に『首位と2打差。絶対にいけるよ!』と声をかけてもらった。実際にお会いできたのは、自分の人生の中で非常に恵まれていた思い出です」

 55歳上のレジェンドの現役時代は当然、知らない。だが、三塁から送球する際に右手をひらひらと揺らす独特の動きで、平凡なゴロでも観客を、ファンを魅了するエンターテイナーだったことは、父親や関係者から何度も聞いた。

 「僕は野球は詳しくはないけど、サードをあれだけ魅力的にプレーされた方はいない、という話を聞いたことがある。実際に長嶋さんが現役でプレーされていた時の魅力を感じてみたかった。どれだけすごい人だったのか、同じ時代にいたかったなとの思いはすごくある」

 16歳で出場した08年大会最終日。ホールアウト後に観覧席に招かれ、長嶋さんと初対面し、「オーラがあった。自分も将来、50歳近く年が離れていても、(長嶋さんのように)子供が憧れるような人間になりたい」と声を震わせた。

 「スポーツの中にあるエンターテインメント性、魅せるところは魅せようと思っても、できることじゃない。それは個々の努力だと思う。自分は、自分の力を最大限出せるように努力することしかできないと思う」

 石川は長嶋さんの力強い左�\x8B、温かい言葉をかみしめ、決意を新たにした。(星野 浩司)

 ◆石川 遼(いしかわ・りょう)1991年9月17日、埼玉・松伏町生まれ。34歳。6歳でゴルフを始め、杉並学院高1年時の2007年5月にツアー初出場のマンシングウェアKSBカップで15歳8か月3日の世界最年少V(当時)。08年1月にプロ転向。09年に世界主要ツアー最年少18歳2か月19日で賞金王に。13年から米ツアーに参戦。17年に国内復帰。19年に3勝するなど通算20勝。家族は妻。175センチ、75キロ。

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