
「お疲れ様でした」とプリントされたTシャツを着用し笑顔の谷口
◆男子プロゴルフツアー カシオワールドオープン 第2日(28日、高知・Kochi黒潮CC=7375ヤード、パー72)
2度賞金王に輝いたツアー通算20勝の谷口徹(57)=フリー=がホールアウト後、第一線を退くことを明かした。8位で出たが1バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの77と崩れ、通算イーブンパーの82位で予選落ち。賞金ランキングを136位から上げられずシーズンを終了。来季シード獲得を逃したが、12月の最終予選会は「行きません」と断言した。
* * *
ギャップこそ谷口の魅力の一つだった。片山晋呉、藤田寛之と賞金王を争っていた頃の谷口は怖かった。プレー中に放つ集中力は圧倒的で、アドレスに入る前から周囲は微動だにできないオーラがあった。見た目は強面(こわもて)ながら、常に「情」があった。しゃべりは絶品。メディアへのサービス精神も一級だった。
面倒見が良く、若手に愛された。2年前のダンロップフェニックス。宮崎で有名なフルーツパフェ店で谷口に遭遇した。会話の中身こそ分からないが、若手相手に熱弁をふるっていた。今大会は普段から面倒を見てきた2人と予選を同組で回った。清水は「(僕も)もっと頑張ろうという刺激をもらった」。片岡も「あの年であんなに気迫のこもったプレーができるのもすごいし、あそこまでゴルフを愛せるモチベーションがすごい」。57歳の生粋のプロは、勝負師として若手の手本であり続けた。(高木 恵)

