「あれは誰?」今季国内男子ツアーは歴代最多11人が優勝…ネット配信なしでも生で見たいと思わせる技術力の高さ


アイアンショットを放つ木下

アイアンショットを放つ木下

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー 25年シーズン最終戦 メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 第3日(6日、東京よみうりCC=7002ヤード、パー70)

 大喝采がわき起こった。木下稜介が、9番グリーン上のピン奥9メートルから第3打で握ったのはパターではなくウェッジ。バックスピンを利かせてボールの勢いをコントロールし、急傾斜を左に転がしてバーディーを奪った。男子プロの高い技術に、思わず拍手を送る日々が続いている。

 今季国内男子ツアーは歴代最多11人が初優勝し、JTカップでも未勝利の吉田泰基、細野勇策がV争いに絡んできた。ただ、賞金ランク1位の金子駆大ら世間的な知名度が高い選手は多くはない。「あれは誰?」。大会パンフレットを見て、選手の名前と顔を照らし合わせるギャラリーもいる。

 今年から初めてゴルフを担当した。女子ツアーは全37試合がU―NEXTで生中継されているのに対し、25試合の男子は一部を除いてネット配信はなし。人気の差を肌で感じた。今大会は米通算11勝の松山英樹、石川遼のようなスーパースターは少ないが、高い実力を持った男子選手は多いとも感じた。320ヤード超えのビッグドライブ。技ありのアプローチ。繊細なパット。お金を払ってでも生で見たいと思わせるプレーがある。今季未勝利で終えた通算20勝の石川が放った「本当にレベルが高くて層が厚い」の言葉が強く印象に残っている。

 昨季賞金王で、今季から世界最高峰の米ツアーを主戦場とした金谷も言う。「国内のレベルは年々上がっている。優勝スコアも当たり前のように20アンダーを超えたり、アグレッシブなプレーをする若手選手が多い」。松山から刺激を受けた自身のように、金谷らの背中を見て国内から海外を志す後輩も多く「次の世代につながっていけば、もっとレベルは上がっていくと思う」と期待を寄せる。

 女子は今季米ツアーに史上最多の日本勢13人が参戦し、7勝と旋風を巻き起こした。男子も来季米ツアーに、松山を筆頭に中島啓太や平田憲聖ら少なくとも5人が参戦予定。国内で技術を磨いた新星が海外へと羽ばたき、米ツアーで優勝する日も近いと期待している。(ゴルフ担当キャップ・星野 浩司)

 〇…木下はプロの妙技で観客を魅了した。9番パー4。急傾斜のグリーン上のピン奥9メートルから第3打をウェッジで狙い、スピンを利かせて下りフックラインをねじ込みバーディー。「奇跡的に入って、すごい良い形でターンできた」と笑顔で両手を突き上げた。10、11番で連続ボギーも5打差の8位につけ「明日7アンダーくらい出せれば、全然可能性はある。諦めずに最後までやりたい」。3日目から連日の66で5位に入った昨年同様、週末の猛チャージで逆転Vをつかむ。

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