
インタビューに応じた松山英樹(カメラ・宮崎 亮太)
男子プロゴルフの松山英樹(33)=LEXUS=が23日、都内でスポーツ報知などのインタビューに応じ、米ツアー12季目の今季を総括した。開幕戦のザ・セントリーでツアー通算11勝目を挙げて以降、苦戦が続いた2025年は「50点」の評価。来季は今季に並ぶ日本勢最多の5人が米ツアーに参戦するが「負けるつもりはない。自分がその先に行けばいい」と言い切った。(取材・構成=高木恵、星野浩司)
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2勝を挙げ、パリ五輪で銅メダルを獲得した昨年は「85点」だった自己採点。今年の松山は何点をつけたのだろう。しばらく考えた末にジャッジを下した。
「50点です」
12季目の今季は開幕戦をツアー記録の35アンダーで制した。その後はトップ10がないままシーズンを終えたが、12月のツアー外大会ヒーロー・ワールドチャレンジでの勝利が来季へ光を照らした。
「優勝でスタートした後はなかなかいいプレーができなくて苦しい時間も長かったけど、最後に『ヒーロー』で優勝することができて、いい締めくくりができた。気分的にはいい気分で終わった」
プレーオフを制し、16年以来の大会2勝目を手にした。「9年前より自信はないけど、確実にステップアップしている」。優勝会見での言葉に、これまで歩んできた道のりがにじんだ。
「優勝を重ねていた9年前は、不安より自信の方が多かった。今は自信満々でプレーすることは少ない。その中で9年間経験したもの、培ってきたものがあるからできた優勝だった。あの時のような自信が戻れば、さらにいいプレーができてくる。自信を少しずつ取り戻して、これまで培ってきたものを、自信プラスア�\x83\xABファで出していければ、もっと上のレベルでプレーできるはず」
来季は松山を含め、5人の日本人が米ツアーを主戦場にする。全員が20代。若手の突き上げ―というスポーツ界によくある構図を許す気は、さらさらない。
「怖いと思うことはない。上位にいれば負けたくないけど、自分のベストのパフォーマンスを出せれば負けるつもりはないので、今は。自分のベストを出した時に負けるような感じになってくれば怖くなってくるのでは。それを待つつもりはない。自分がその先に行けばいい話なので」
最高峰のツアーで11勝を積み上げてきた。12シーズンにわたり世界のトップと渡り合ってきた自負がある。来年の2月に34歳の誕生日を迎える。ゴルフへの向上心が尽きることはない。
「自分は変わっていない。伸びしろはあると信じてプレーしている。さっき言った言葉を覆すような子が出てくれば、その子に負けたくない気持ちも出てくるだろうし。でも、自分が追い求めてるところまで自信を持ってプレーできれば、自分が頑張っていれば、彼らに追いつかせない自信はある」
初出場だった2011年に27位でローアマ(アマ最上位)を獲得し、21年に優勝したマスターズは来年で出場15回目になる。
「そんなになるのか…早いですね」
プロゴルファー松山英樹にとってマスターズとは。
「いつ行っても、自信を砕かれる場所。技術うんぬんより、メンタル的にやられていくコース。そして技術がないからこそ、メンタルが削られていくっていう話。その技術を、しっかりと自信を持って、メンタル的にやられても技術があるんだよっていうふうにしておけば、そうはならない。崩れていかないように必死に、そういうものを作っていけたらなと思っている」
来年1月15日に開幕するソニーオープンから、13季目の戦いが始まる。
「今年みたいにスタートダッシュをして、持続してメジャーでもいいプレーができるようにしたい。早めに優勝してマスターズにいい状態で挑むことが第一の目標。メジャーに照準を合わせながら、一つでも優勝を多くできるようにしていけたら。もう一回メジャーで勝ちたい」
■取材後記
合同取材後に各社10分の取材時間が設けられた。その10分の中で松山は「自信」という言葉を14回繰り返した。対後輩に向けての「自信」と、優勝を争う過程における「自信」。メジャーでの次の勝利に向かって、後者こそ今一番欲しているものなのかもしれない。
今年のマスターズで2日目を68で回り5打差の12位に浮上したが、3日目に79と乱れ後退した。「技術がないからメンタル的にやられて崩れるというだけ。3日目に詰められなかった。追いかける立場になった時に技術が足りない。自信が足りないっていうところだと思う」と回顧した。「技術があれば心は崩れない」というのが松山の信条。息もできないほどの緊張感に打ち勝つための、自信の一打を求めていく。(高木 恵)

