◆男子プロゴルフ ネスレ招待 日本プロゴルフマッチプレー選手権レクサス杯最終日(31日、北海道・恵庭CC)
前週のダンロップスリクソン福島オープンで初優勝した時松隆光(りゅうこう、22)=筑紫ケ丘GC=が2週連続Vを果たし、日本最高額の賞金1億円を手にした。準決勝で小田孔明(38)=プレナス=、決勝で小田龍一(39)=Misumi=にいずれも1UPで勝利。6月までレギュラーツアーの出場権すらなかったプロ野球DeNA・筒香嘉智似の伏兵が、本家ばりの“神ってる”7月を締めくくった。
7月のわずか31日間で、時松がシンデレラストーリーを完結させた。1UPで迎えた18番、入れれば1億円が手に入る1・5メートルのパーパット。「さすがに(気持ちが)おかしかった」と言いながら中央から沈めた。「(初Vの)先週より今週の方がプレッシャーがありましたね」。9番まで5UPと大量リードも、後半は小田龍が反撃し16番で追いつかれた。17番で115ヤードの第3打を50センチにつけるバーディーで突き放した。
1日の下部ツアー初Vから一気に自信をつけ「精神的に自分をコントロールできるようになった」。ツアー外競技で32人の出場選手を主催者が招待する今大会は、ダンロップ―で活躍した選手を呼ぼうと最後の1枠を空けていた。優勝直後に出場オファーを受け、3日間5試合で大物食いを連発。「記憶に残る7月になりました」と喜んだ。
前週のV直後からは携帯に知らない番号からメッセージが入るなど「知り合いが増えた」と苦笑い。今回はその10倍の大金にも「欲しいものはないんです。吉野家で(牛丼から)うなぎにしようかな」と笑う。ツアー転戦には年間約500万円の経費がかかり赤字になる年もあった。副賞は約700万円の高級車レクサスと、日頃から利用しているスカイマークの1年間無料パス。これまでは父の車を借りていただけに、移動も大幅グレードアップだ。
今大会のサブタイトルは「勝者よ、世界への扉を開け」。海外へ挑戦する選手の経費支援を目的に年々賞金を増額しており、時松も「アジアの試合や欧州ツアーに挑戦してみたい」と目を輝かせた。7月16発と覚醒した筒香の写真を見せられると「少し似てますね。追いつけるように頑張ります」とニヤリ。平家の家系をくむ20年東京五輪の主役候補が、トッププロへの階段を上り始めた。(岩崎 敦)
◆時松 隆光(ときまつ・りゅうこう)1993年9月7日、福岡県生まれ。22歳。本名は源蔵(げんぞう)。12年に知人に勧められ、地元・福岡の寺で授かった「隆光」に登録名を変更した。5歳からゴルフを始め、沖学園高1年で全国高校選手権団体優勝。12年にプロ転向し、賞金ランクは13年の84位(846万9357円)が最高。家族は両親。168センチ、75キロ。