◆男子プロゴルフツアーRIZAP・KBCオーガスタ 第1日(25日、福岡・芥屋GC、7151ヤード=パー72)
1か月半ぶりの実戦復帰となった石川遼(24)=カシオ=が1イーグル、5バーディー、1ボギーの6アンダー、66をマーク。日本ツアーでは10年フジサンケイクラシック以来4度目の首位発進を決めた。弟の航(わたる、16)=県浦和高2年=は、姉・葉子さん(20)とのコンビでツアーデビュー戦に挑んだが、10オーバーで最下位の138位。石川のほか、太田直己(37)=フリー=、小田龍一(39)=Misumi=ら首位に8人が並ぶ大混戦となった。
37度の最高気温以上に、世界基準の攻撃ゴルフが福岡のギャラリーを熱くした。腰痛からの完全復活を目指す石川が、本来の攻めのゴルフを取り戻した。ハイライトは553ヤードの18番パー5。残り210ヤードの左ラフから、7アイアンでの第2打はピン奥3メートルへ2オン。日本ツアーでは14年11月以来のイーグルを決め、大喝采に応えた。「危惧していたアイアンとウェッジの距離感が良かった」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。
風の弱い早朝スタート。強い覚悟で“我が道”を突き進んだ。フェアウェーキープは2ホール(14・3%)のみで全体135位。それでもドライバーを振り抜き、飛距離を稼ぎながら「リズムをつくった」。アイアンでの第2打以降がさえてパーオン率は77・8%(同12位)。「アメリカでもできなきゃいけないと思います」と長期的な視野も持ちながら自分らしさを追求した。
2月に「腰椎椎間板症」を発症し、主戦場の米ツアーを離脱。7月の日本プロは「アイアンショットのタイミングが合わなくて」と自己ワースト127位で予選落ちした。「アイアンが良くないとスコアにならない」とシャフトを変更。より柔らかくしなるタイプにして「リズムが一定になり、球筋も安定した」と鋭く速いスイングを取り戻した。
今大会は会場から車で10分ほどのレンタルハウスに滞在。前夜は妹、弟とヤーデージブックを手に攻め方の意見交換をした。兄の威厳を示しつつ「航は楽しかったと思いますよ。結果にガッカリする時期ではないと思う。出られたことに感謝して、失敗を気にすることなく、次に生かしていければいいと思う」と苦戦した弟を優しく気遣った。
09年サン・クロレラクラシック、10年フジサンケイクラシックと過去、首位発進した大会で2度優勝。「明日も攻め方は変えない。内容をもっとよくできるように」。残り3日間、真夏の日差し以上に強い輝きを放つ。(榎本 友一)