モデル体形の堀琴音がメジャー初首位、ツアー初勝利へ生かした元女王の指摘とは


 ◆女子プロゴルフツアー 国内メジャー第3戦・日本女子オープン第2日(30日、栃木・烏山城CC二の丸・三の丸C、6506ヤード=パー71)

 2打差5位で出たツアー未勝利の堀琴音(20)=東芝=が、プロの意地を見せた。午後組で回り、難易度の高い後半に3バーディーを奪って67。通算5アンダーとし、メジャーで初めて首位に立った。

 これがプロの勝負強さだ。20歳の堀が不得手のパターでグリーン上を沸かせた。アマの長野を2打差で追う14番。1メートルを決めて1打差に迫ると、最難関の17番で約4メートルを沈めて首位に並んだ。18番で約7メートルをねじ込み単独首位。88年のツアー制後、メジャーでは初となる“アマの首位”を阻止し「ノーボギーはうれしい」と手応えを見せた。

 賞金ランクは36位ながら、平均パット数は57位。課題のパットで結果を残そうと、先週までのマレット型から約1年半ぶりにピン型に戻した。アマ時代から使っている上、ヘッドが重いマレット型より操作しやすい。ただし「手先で打つことを避けるために」グリップはかなり太く新調した。17番は右に曲がり、カップ間際で左に曲がる「スネークライン」。難解なラインを“新兵器”で沈めた。

 元女王の指摘を生かした。大会直前、13年の賞金女王・森田理香子(26)にパットの助言を求めた。「ただ素振りをするのではなく、本当に打つ時のようにイメージして素振りをしなさい」。打つ直前、しっかり弾道を思い描いてストロークが改善し、この日は計30パット。メジャー8戦目(アマ時代含む)で初の首位に立った。

 163センチ、53キロのモデル体形。体力不足を補うため、鉄分が豊富なほうれんそうを「嫌いだけど、水で丸のみする」など栄養補給にも気をつける。それでも、最近5試合のうち3戦で予選落ち。夏以降はバラの香りの入浴剤を使い、ストレスを和らげている。

 日本人選手がツアー初優勝をメジャー制覇で飾れば、鈴木愛(14年9月、日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯)以来、2年ぶり6人目。2位にはメジャー史上最年少Vを狙う15歳のアマ、長野がつけている。「試合に出ている以上、年の差は関係ない」。はっきりした口調に、プロとしてのプライドが透けて見えた。(高橋 宏磁)

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