長野未祈、最年少Vだ!メジャー3日目にアマの首位は史上初


 ◆女子プロゴルフツアー 国内メジャー第3戦日本女子オープン第3日(1日、栃木・烏山城CC二の丸・三の丸C)

 アマチュアの長野未祈(みのり、15)=千葉・麗沢高1年=が4バーディー、3ボギーの70で回って通算5アンダーで首位に浮上。メジャーの3日目終了時にアマが首位に立ったのは史上初の快挙だ。アマがメジャーで勝てば初めてで、ツアーとメジャーの最年少優勝記録も同時に更新する。2打差2位に堀琴音(20)=東芝=、柏原明日架(20)=富士通=がつけた。

 長野のボールは、ド真ん中からカップに消えた。最終18番、約4メートルのバーディーパットを沈めて単独首位に立った。師匠でもある男子ツアー通算48勝の中嶋常幸(61)が見守る中での70。男子の“レジェンド”から「俺よりたくましいぞ」とたたえられると、笑みがこぼれた。

 プロも苦しむ高速グリーンで勝負強さが光った。4番は約5メートル、10番は3メートルを決めてバーディー。「途中から楽しくなってきて、緊張を受け入れた」。正確なパットの秘密は独特な練習法にある。まずは鏡の上に500円玉を2枚重ねて置く。パターが鏡に触れないよう、なおかつ下の500円玉を動かさずに、上の1枚を鏡の上に押し出すという難しい練習だ。

 「パターマットを使った練習だと500回連続で入れるほど簡単だから」と父・勝さん(49)が考案。狙いは、集中力を極限まで高めることにある。パターが鏡に当たれば当然、割れる可能性もある。500円玉の厚さは2ミリ弱でわずかな誤差も許されない。漫画のような特訓を、中学時代から登校前に約3年も続けている。「20回連続で成功するまで学校に行けない」というルールまであるが「遅刻したことはない」。ゴルフ専門誌も愛読し「イ・ボミさんを見習って、試合前日の夜に18ホールのイメージトレーニングをしてから寝る」と貪欲に吸収してきた。

 メジャー大会でアマが優勝すれば史上初で、もちろん最年少だ。15歳278日で優勝すれば、14年KKTバンテリンレディスで勝みなみが達成した15歳293日のツアー最年少V記録と、宮里藍の大会最年少V記録(20歳105日)も更新する。2位とは2打差。快挙達成に王手をかけたが「記録のことは意識せず、自分のプレーに集中したい」と冷静そのもの。女子ゴルファー日本一を決める戦いで、歴史が塗り替えられようとしている。(高橋 宏磁)

 ◆長野 未祈(ながの みのり)

 ★生まれとサイズ 2000年12月29日、東京・江戸川区生まれ。15歳。163センチ、59キロ

 ★頭脳明晰(めいせき) 千葉の進学校・麗沢高に通う秀才で「現代文と言語技術の授業が好き」。大会前には練習後に勉強も。約4年前から、ラウンド後には毎日「ゴルフ日記」として、日々の反省点などを書き込む

 ★好きな食べ物 母が作ったラザニアや刺し身。2日目終了後は、コース近くのスーパーで買った刺し身を食べてパワー充電

 ★夢 プロゴルファー。ただし小学校の卒業文集には「プロになる自信がなくて、パン屋さんになりたいと書いた」

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