【日本オープン】松山、世界の技で観衆魅了 15位発進も即席サイン会で存在感みせた


 ◆男子プロゴルフツアー国内メジャー第3戦日本オープン 第1日(13日、埼玉・狭山GC、7208ヤード=パー70)

 4年ぶりに出場した松山英樹(24)=LEXUS=が、ワールドクラスの高い技術で観衆を魅了した。石川遼(25)=カシオ=、2013年マスターズ王者アダム・スコット(36)=豪州=との同組対決にファンが大集結。ギャラリー数は記録の残る1991年以降では、大会初日の最多数を2995人更新する1万838人となった。松山は1オーバーの15位発進となったが、日没後にも即席でサイン会を行うなど、コース外でも存在感を見せた。

 世界レベルの技で大観衆を沸かせた。4番。松山は第1打から連続で深いラフにつかまったが、第3打をピン右1メートルに寄せてパーセーブ。スコアを伸ばさずとも、高い技術にコースを取り囲むギャラリーが拍手を送る。「ビックリ。ずっと緊張してましたね。(米国でも)あまりない感じ」。世界ランク18位の怪物さえも動揺を隠せない盛り上がりだ。

 スタート前の1番では同組の2人に加え、日本ゴルフツアー機構の青木功会長(74)と記念撮影。超豪華な“4ショット”に観衆と報道陣のシャッター音が鳴り響いた。91年以降の初日ではツアー史上2番目、平日の初日では過去最多で、大観衆に慣れているはずの石川が「(出だしは)もうガチガチで体が動かなかった」と苦笑いするほどだった。

 コースロープを倒すくらいの人の波が追従。アドレスに入れば、静まり返り、打ち終われば歓声―。そんな異様な熱気にも、松山は冷静さを失わない。9番でグリーン奥のラフからピン手前2・5メートルに寄せてバーディー。チャンスホールの13番でも1つ伸ばし、この組で唯一バーディーを奪ったが、71で1オーバーの15位に「あまりいいプレーができなくて申し訳ない」と悔しさをにじませた。 

 東北福祉大3年の12年8月に日本学生選手権で優勝した思い出深いコース。当時の恩師で同大ゴルフ部の阿部靖彦監督(54)も応援に駆けつけ「盛り上げようと頑張っている。恩返しの気持ちもあるだろうね」と成長した姿に目を細めた。「僕一人の力だけではこんなに呼べない」と本人は謙遜するが、遼も「英樹が出てくれることに大きな意味がある」と存在に感謝した。

 ラウンド後は自らの提案で即席サイン会を実施。日没後も続け、約20分間、400人の大行列にペンを走らせた。最後の一人を終え「どうも~」とコースを後にした怪物。「多くの方が来てくれてありがたい。もっと、もっといいスコアで回れたら」。ゴルフ界のエースは、その自覚を胸にクラブを握っている。(浜田 洋平)

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