◆男子プロゴルフツアー 国内メジャー第3戦 日本オープン第2日(14日、埼玉・狭山GC、7208ヤード=パー70)
61位で出た石川遼(25)=カシオ=が5バーディー、2ボギーでベストスコアの67で回り、通算2オーバーで首位と4打差の14位に急浮上した。予選落ちの危機から脱出。夢の同組対決でアダム・スコット(36)=豪州=が姿を消したが、V争いに食い込み、11月の国地域別対抗戦W杯(豪州)でタッグを組む松山英樹(24)=LEXUS=と残り2日間を盛り上げる。片山晋呉(43)=イーグルポイントGC=がイーブンパーで8位から5位に浮上。
トップスターは沈んだままで終わらない。インスタートの15番。石川はピン右奥7メートルから、今大会24ホール目で初バーディー。「やっと日本オープンが開幕したなという感じ」。空を見上げて息を吐いた。欲しかった大歓声を背に受け、遼のメジャーが始まった。
遅れて来た千両役者に拍手が鳴りやまない。7番は5メートル、8番は2メートルのフックラインを沈めて連続バーディーとパットが復調。試合のなかった最近1か月は重点的に練習し、長めシャフトを用いるなど試行錯誤したが、使い慣れたエースパターに落ち着いた。逆手と迷っていた握りも順手に統一。「微妙な距離のパーパットが続いたけど、それも決めてリズムが作れた」。ショットも安定し、ベストスコア67の2オーバー。61位から14位に浮上し、予選落ちの危機を脱した。
同組の松山の実力には目を見張っている。「英樹はグリーンを外しても焦らない。あれを普段からやっているのがすごい」。ラフに入れても平然とリカバリーする姿に感心し、ラウンド後は並んでバンカー練習場へ。突如始まった2人の共演に、数百人のファンが何重にも囲んだ。ギャラリー数9534人は、初日に続いて大会2日目としても最多記録。即席サイン会は、人がなだれ込むほど殺到した。異例の盛り上がりにも心地よさそうに対応している。
記録の残る1985年以降、大会優勝者で初日最も悪かった順位は09年・小田龍一の45位。9打差からの逆転Vも02年のD・スメイル(ニュージーランド)に並ぶ最大差となり、優勝なら奇跡の週末になる。日本代表としてW杯でタッグを組む松山とは使用球について話し合うなど、国を背負ってプレーする準備が進む。「英樹は最終日に上位にいくと思うし、自分も頑張らなきゃいけない。大会を盛り上げたい」。ゴルファー日本一を争う戦いの中に、遼がいないとつまらない。(浜田 洋平)