松山、国内メジャー初制覇にも「ここは通過点。目標は海外の4大メジャーで勝つこと」


 ◆男子プロゴルフツアー 国内メジャー第3戦 日本オープン最終日(16日、埼玉・狭山GC、7208ヤード=パー70)

 1打差の単独首位で出た松山英樹(24)=LEXUS=は5バーディー、4ボギーの69で回り、2位に3打差をつける通算5アンダーで自身初の国内メジャー制覇を果たした。持ち味のショットの正確性を欠いたが、米国で培った経験を生かし、14年11月のダンロップフェニックス以来となる国内通算7勝目。練習日も含めて4万6000人を超すギャラリーに世界ランク18位の実力を見せつけ、夢の海外メジャー優勝を誓った。

 世界の頂を捉える松山は、強い口調で言い切った。国内メジャー初制覇にも「ここは通過点。目標は海外の4大メジャーで勝つこと」。10、12年に獲得したローアマと史上8人目の大会2冠を達成しても、24歳の怪物は満足できなかった。

 16番で10メートルのバーディーパットを沈めると、右拳を力いっぱい握った。2位に4打差をつけ、優勝をほぼ手中に。ギャラリーは松山が歩く間も拍手を送り続け、残り2ホールは長い「ウィニングロード」と化した。「僕と(石川)遼が出れば、これだけ呼べる。ホームというのを感じながらプレーできて楽しかった」。普段は感じられない喜びだった。

 米国の難コースで磨いたショートゲームがスコアを支えた。この日、ラウンド前の練習で思い通りのショットを打てなかった。「ひでぇな、今日は…」。覚悟した通り、78・57%で第3日トップのフェアウェーキープ率は21・43%で58位。だが、世界ランク18位は崩れない。1番は約10メートルからピン奥1メートル半、4番は約7メートルから横10センチへ。「米国での経験が生きた」。ともにバンカーから芸術的なアプローチでパーセーブ。驚き交じりの大歓声が胸に響いた。

 練習日も含めたギャラリー数は大会最多には届かなかったが、2番目の4万6473人。「海外メジャーよりすごいんじゃないか。プレッシャーがあった」。努力を信じて自分のゴルフに徹する。この心の強さこそが松山の真骨頂。決勝ラウンド2日間は、4月の海外メジャー・マスターズと同じデザインのウェアに袖を通した。最終日のカラーはともに黄色。「ふがいないプレーは絶対にできない」。11か月ぶりの国内での試合は、世界最高峰の夢舞台に匹敵するほど大切なもの。その決意の表れだった。

 東北福祉大3年の12年8月に日本学生選手権を制した思い出深いコースで真の日本一となった。でも、1メートル半のパーパットを外した最終18番が心に残る。「最後のパットを決めないと向こうでは勝てない」。悔しさを胸に次週から米ツアーの今季自身初戦に挑む。「子供たちが僕を見てプロになりたいと思ってくれたら」。日本でプレーした意味をかみしめ、海を渡る。(浜田 洋平)

最新のカテゴリー記事