片山晋呉、歴代5位30勝!頭脳で逃げ切った「あれが勝負の大切なアヤ」


 ◆男子プロゴルフツアー マイナビABC選手権最終日(30日、兵庫・ABCGC、7217ヤード=パー72)

 2位で出た片山晋呉(43)=イーグルポイントGC=が4バーディー、ボギーなしの68で回り、通算12アンダー。未勝利の同組プロに経験の差を見せつけ、1973年のツアー制施行後では歴代5位タイ(6人目)となる通算30勝を決めた。43歳273日での大台到達は歴代4位の年少記録。21年連続の青木功に次ぐ19年連続での今季国内メジャー最終戦、日本シリーズJTカップ(12月1~4日・東京よみうりCC、報知新聞社主催)出場を確定させた。

 苦難の日々が報われた。片山は1メートル弱のウィニングパットを沈めると、全身を振るわせながら両拳を握った。「男のプライドをかけた戦いで競り勝てた。30という数字は6人しか味わっていない。ここまでやって良かった」。歴代4位の年少記録で史上6人目の通算30勝を達成。絶叫しながらキャディーに抱きついた。

 したたかに笑ってプレーしていた。2打差で追う5番、バーディーを奪うと小林伸がダボで逆転。「今回は人より1打勝てばいい」。2打差に広げた18番では小林伸が池越えの185ヤードを2オンさせたが、片山は池の手前に刻み、残り97ヤードの第3打を相手の数センチ内側に乗せた。ボギーのリスクと、先に打てばラインを読まれる状況を回避する一打。カップにより遠い小林伸が先に打ち、イーグルパットを外して逃げ切った。「あれが勝負の大切なアヤ。彼もいいものを見たね」。

 今季は長いプロ生活で最大級のスランプに陥った。7月から3か月は5試合中4度の予選落ちとなり、8月のリオ五輪も54位。コーチや他のプロにも助言を求めた。「こんなに人に聞いたことはない。アマチュアのおじさんにも聞いたよ」。年齢も実績も関係ない。3日目は全選手の中で一番最後まで残って練習した。

 今季初Vで19年連続の日本シリーズJTカップ出場が決定。1か月前は不安で賞金ランクをチェックしていた。「(出場圏内の)30位がいくらとか、今まで気にしたことなかった。勝って決めたのは大きいね。次の火曜の練習はどうしようかな」。貪欲な姿が強さの支えになる。(浜田 洋平)

 ◆片山の優勝用具 ▽1W=CT112(ロフト角9・1度、46・75インチ、硬さX)▽3、5、7W=フェアウェイ・アームス▽4、5、6UT=フェアウェイ・ウィングス▽7~9I、PW=フォージドCB358▽ウェッジ(52、58度)=フォーティーン・RM▽パター=フォーティーン・プロトタイプ▽ボール=スリクソン・Z―STAR XV(ウェッジ、パター、ボール以外はオノフ製)

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