吉田“アネキ”、背中痛に耐え涙の2年ぶり優勝


通算12アンダーで優勝し、インタビューで感極まり涙ぐむ吉田

 ◆女子プロゴルフツアー フジサンケイレディス最終日(23日、静岡・川奈ホテルGC富士C)

 首位タイから出た吉田弓美子(29)=フリー=が5バーディー、2ボギーの69で回って通算12アンダー。2位に3打差をつけ15年5月以来、2年ぶりの通算6勝目を飾った。

 ツアー史上2組目の姉妹優勝を狙った松森杏佳(きょうか、21)と、姉の彩夏(22)=ともにスターツ=は4打差3位。姉妹がともにトップ3位に入ったのは初めてだ。

 歓喜の抱擁が、次々に繰り返された。最終18番。吉田が約30センチのウィニングパットを沈めると渡辺彩香、川満陽香理ら5選手が吉田に抱きついた。「ゴルフを続けてきて良かった」。約2年ぶりの勝利に、涙は止まらなかった。

 前週は背中を痛め2日目に途中棄権。今大会中も痛みは消えなかった。1、2番はショットが乱れボギー。途中棄権も頭をよぎったが、3番終了時に「最後まで諦めない」と上を向いた。4、5番で連続バーディー。11、12番もバーディーを奪い、一時は首位に8人が並走する大混戦を抜け出した。

 どん底からはい上がった。昨夏以降は体調不良に加え、不眠症にも悩まされた。「クラブを持つ手が震える。もうプロとしてはダメかも」。9月から8戦連続で欠場。両親には「1回ゴルフから離れたら」と諭された。

 苦しむ中でも友人を思いやる気持ちは失わなかった。昨年11月に同い年の川満が入籍した際は、自ら日本女子プロゴルフ協会の小林浩美会長(54)らの“祝辞”を集めた。「自分が大変なのに、何で私を思ってくれるんだろう。涙が出た」と川満は明かした。仲間思いの吉田を慕う選手は10人近くもいる。

 女子ツアーで珍しい“姉貴分”の復活劇。吉田は「いろんな人が支えてくれた。いい姿を見せられたと思う」と涙を拭った。悩み抜いた末に手にした勝利の味を、じっくりとかみ締めた。(高橋 宏磁)

 ◆吉田 弓美子(よしだ・ゆみこ)1987年4月28日、神奈川・相模原市生まれ。29歳。10歳でゴルフを始め、09年のプロテストでトップ合格。13年に3勝し自己最高の賞金ランク5位に入った。昨季は賞金ランク18位。趣味はダーツとアニメ観賞。家族は両親と兄2人。164センチ、65キロ。

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