敏京、日本女子歴代4番目の米ツアー3勝目


 ◆米女子プロゴルフツアー テキサス・シュートアウト最終日(30日、米テキサス州ラスコリナスCC)

 首位から76で回った野村敏京(24)=フリー=は、通算3アンダーで並んだクリスティ・カー(39)=米国=とのプレーオフ(PO)を制し、昨年4月以来、日本女子歴代4番目となる米ツアー3勝目を挙げた。強風の中、前半で後続に5打差をつけたが、17番でダブルボギー。18番とPO6ホール目でバーディーを奪い、競り勝った。1日発表の世界ランクでは、自己最高の17位に浮上した。

 日没寸前の決着だった。スタートから約7時間20分後。カーの3メートルのバーディーパットが外れると、笑顔の野村はグリーン脇で畑岡奈紗(18)=森ビル=らから“ウォーターシャワー”の祝福を受けた。プロ転向後初のPOを激闘の末に勝利し「幸せ。一日が長かった。6ホール目までいくとは。24ホール回って疲れがたまった。おなかがすいているので、ステーキが食べたい」と喜んだ。

 グリーン上のボールが動くほどの強風の中、強弾道を武器に前半で5打差の独走。ところが10、11、14、16番でボギー。17番は4オン1パットのダブルボギーで1打を追う展開になった。最終18番で3・5メートルのバーディーパットをねじ込んだ。「人はミスをする。まだ終わっていないので最後まで楽しもうと思った。ダボの後の(18番の)バーディーが大きかった」。POは互いに攻めあぐね「バーディーを取らないと終わらない」と3ウッドで奥3・5メートルに2オンし、バーディーを奪う積極策で競り勝った。

 昨季は初Vを含め2勝と躍進。今季は年明けから腰を痛め、決勝Rでスコアを伸ばせない試合が続き、7戦で1ケタ順位は1度だけ。実は今大会も欠場を考えていた。難条件でのしのぎ合いは「みんな条件は同じ。私には経験がある。楽しむことを考えた」とマイペースを貫いた。今後2週間は腰の治療に充てる方向。日本ツアーへの参戦は、11月のTOTOジャパンクラシック(3日開幕・太平洋C美野里C)だけの予定だ。

 強風で3人しかアンダーパーで終えられず「コンディションはメジャーみたいだった」という今大会。目標は一貫して1977年の全米女子プロ選手権の樋口久子以来、日本女子2人目の海外メジャー制覇だ。次のメジャーは全米女子プロ選手権(6月29日~7月2日・米オリンピアフィールズCC)。正確なパットと成長著しいアプローチで、耐えてつかんだ1勝に「メジャー(制覇)に近づいたと思う」と手応えを感じた。

 ◆野村 敏京(のむら はるきょう)  ▼生まれとサイズ 1992年11月25日、神奈川・横浜市生まれ。24歳。166センチ、59キロ。  ▼ルーツ 日本人の父と韓国人の母を持つ。アマ時代に韓国代表への誘いもあったが、出場試合に制限があり、母・昭英さんと相談して断念。弟・京平さんもプロゴルファー。10年12月「父が日本人だから」と日本国籍を選択した。  ▼名前 母の体内にいる時から大柄で「元気になるように」と男子と思い込んだ祖母がつけた。韓国では女子でも通用する読み方だったので、そのまま命名。米ツアーは「ハル・ノムラ」。  ▼スポーツ歴 幼い頃はテコンドーを習っていたが、祖母の勧めで小学5年時にゴルフを始める。  ▼今季の主なスタッツ 獲得賞金29万7471ドル(約3332万円)は賞金ランク13位、平均飛距離96位(247・67ヤード)、パーオン率138位(62・15%)、平均パット数2位(28・13)。  ▼趣味 カラオケ、ハーモニカ。

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