「肩を回す」というのも抽象的で分かりにくい表現だ。ゴルファーでなければ、肩こりを治すためのあの運動をするだろう。ゴルファーならひねりを意識するだろうが、では、トップ・オブ・スイングで肩はどのくらい回っていればいいのだろうか?
まず、直立して両腕を真っすぐに広げ、母指球に体重を乗せて立ってみる。右手はそのままにしておいて、左手を右手のひらに合わせてみる。するとどうだろう? 無意識にやってみると、右手の指先はどれほど余っただろうか? 右手と左手をぴったり合わせるには、右肘を緩めること。そうすることで左手を簡単に右手に合わせることができる。そこがトップの位置だ。左肩は多分、顎の下に収まっていると思う。
その位置を覚えておき、クラブを持って前傾姿勢になっても、そこまで左肩を回す。トップでは無理に左肘を伸ばす必要はない。ダウンスイングからインパクトにかけて遠心力に引っ張られ、自然に伸びるからだ。
構えた時の体重は母指球に乗っているのが正しい姿勢。爪先やかかとに乗っていると、正しいスイングができないので注意が必要だ。母指球に体重が乗るという感覚がつかめないなら、肩幅で立って軽く跳び上がってみるといい。トン、と着地した時の足裏にかかっている重心配分がベストだ。
◆岩本砂織(いわもと・さおり)1971年7月21日、山口・周南市生まれ。45歳。2007年、日本女子プロゴルフ協会入会。ティーチングプロA級。「プロを教えるプロ」として有名。ティーチングプロばかりでなく服部道子らも指導。現在、ナショナルチームのコーチも務める。