元アルペン選手の遠藤が初の首位発進「憧れは皆川賢太郎さん」


18番、ホールアウトし、ギャラリーの歓声に応える遠藤彰、4アンダー首位タイ(カメラ・相川 和寛)

18番、ホールアウトし、ギャラリーの歓声に応える遠藤彰、4アンダー首位タイ(カメラ・相川 和寛)

 ◆男子プロゴルフツアーメジャー第2戦日本ツアー選手権・森ビル杯第1日(1日、茨城・宍戸ヒルズCC=7384ヤード、パー71)

 今季ツアー初出場で元アルペンスキー選手の遠藤彰(38)=S・Sテック=が6バーディー、2ボギーの4アンダー、67をマークした。右ひざのけがでスキーを諦め、19歳でゴルフを始めて27歳でプロ転向。メジャー舞台で粘り強さを発揮し、自身初の首位発進を決めた。1999年の日本ゴルフツアー機構発足後、首位に最多の8人が並び、トップから2打差以内に24人がひしめく大混戦となった。

 日没が迫る茨城で、異色の経歴を持つ38歳が最高の滑り出しを決めた。遠藤はアイアンショットが好調で、この日最多の6バーディーを量産。最難関の17番パー4で見せた。残り200ヤードから、4アイアンでの第2打を50センチにつけてのバーディーで単独首位に躍り出た。だが、カメラマンが大挙して訪れた18番が誤算。第1打を左林に曲げてボギー。「初めての経験で『どいて下さい』とも言えないし、力が入り過ぎましたね」と苦笑いだった。

 過去3度出場し、いずれも予選落ち。距離とラフが長く、グリーンも硬くて速い難コースで7ラウンド目にして初のアンダーパーだ。パーオン率は83・33%で全体3位で「距離感がうまくいった。大、大、大満足です」とほおを緩めた。

 19歳でストックをクラブに持ち替え、雪の上を離れて芝生に立った。3歳でスキーを始め、回転や大回転で中学の全国大会にも出場。「中1の時に(五輪4大会に出場した)皆川賢太郎さんが3年で全国優勝した。すごい憧れでした」。W杯や五輪のメダルを目指し、15歳でカナダへ単身留学。17歳で右ひざ内側の靱帯(じんたい)を損傷し、1年間のリハビリでゴルフを始めた。帰国後、ダム工事のアルバイトをした苦労人。栃木の益子GCで研修生となった。

 8年前、栃木で知り合った7歳年上の妻・佳織里さんと結婚。下部ツアーが主戦場で病院勤務で管理栄養士の妻に「金銭的にも助けてもらいました」と感謝する。2日の第2Rには休みの妻が観戦予定。「落ち着いてできればいい」。6年連続で初優勝者が誕生しているメジャーで、サプライズVに挑む。(榎本 友一)

 ◆遠藤 彰(えんどう・あきら)1979年5月11日、山形・長井市生まれ。38歳。3歳でスキーを始め、中学3年の全国大会回転で7位、大回転で8位。19歳でゴルフを始めて06年にプロ転向。07年にレギュラーツアーデビューし、13年日本プロの19位が最高成績。10年の下部ツアー、トーシンチャレンジで優勝。昨年の最終予選会36位。175センチ、77キロ。家族は妻。

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