鈴木愛、初女王!MVPと2冠「また立ち向かっていきたい」


初の賞金女王に輝き、喜びを爆発させる鈴木愛(カメラ・川口 浩)

 ◆報知新聞社後援 女子プロゴルフツアー今季メジャー最終戦 LPGAツアー選手権リコー杯最終日(26日、宮崎・宮崎CC)

 賞金ランクトップの鈴木愛(23)=セールスフォース=が3バーディー、ボギーなしの69で通算5アンダーの7位に入り、初の賞金女王となった。日本人では2013年森田理香子以来。年間最優秀選手賞に相当するメルセデス・ランキングでもトップとなり、2冠を獲得。4年ぶりに最終戦までもつれ込んだ韓国勢との女王争いで、ツアー屈指の練習量を誇る努力家が一番の輝きを放った。小学生時代から鈴木を指導した南秀樹コーチ(43)が「愛」を語った。

 肌を突き刺す重圧から解放された。鈴木は5アンダーで終えてクラブハウスへ。「大丈夫かな?」。他選手が伸ばせば、女王圏外にはじき出される。不安で周囲に問いかけたが、待機中に次々と祝福を受けて表情が和らいだ。「9月くらいから、ずっとプレッシャーがあった。やっと1年が終わった」。13位で出た最終日。ミニョンが勝ち、14位タイ以下なら1年の努力が水の泡。絶対に落とせない位置からボギーなしで3つ伸ばし、4番目の若さ(23歳201日)で女王となった。

 未知の重圧で歯車が狂っていた。初の女王争い。知らぬ間にルーチンの時間が長くなり、自慢のパットが入らない。ボーダーライン上となった第2日はラウンド後に泣いた。コースを出ても止まらなかった。眠れない日もあり、前夜は頭を抱えた。「(国内に少ない)高麗芝を気にしすぎていた。私のスタイルに戻そう」。一瞬の感覚でラインを読めるのが武器。何万球と重ねた努力を信じると、3日間嫌われ続けたカップに次々と球が吸い込まれた。

 誰より打ってきた自負があった。ある試合で「日本人も頑張れよ!」と激励された。今季は38戦で20度、外国人が優勝。特に韓国勢の勢いが目を引く。「日本ツアーでこれじゃだめ。正直に言うと、頑張ってるし!って思ったけど、やれることをやるだけ」。両膝痛などで夏場まで落としていた練習量を見直し「練習しなきゃ自分の実力を引き出せない。練習量だけは韓国選手に負けたくない」と回復した9月頃から自分を追い込んだ。

 「本当は好きじゃない」と笑うが、鈴木が一人で居残り練習に励む姿は、すっかりおなじみ。隣で談笑する他の選手たちを横目に、課題に集中してきた。米ツアー挑戦は時期尚早と考え、来季は女王の冠をかぶって国内で戦う。「そこで成績を残せば本物になれる。また立ち向かっていきたい」。来年も夕日を背に技を磨くつもりだ。(浜田 洋平)

 ◆鈴木 愛(すずき あい)

 ▼生まれとサイズ 1994年5月9日、徳島・三好郡生まれ。23歳。155センチ、55キロ。家族は父、母、姉、妹・花奈さん(22)、弟・宏典さん(18)。

 ▼ゴルフ歴 10歳でゴルフを始め中学3年で四国女子アマ優勝。鳥取・倉吉北高2年で中国女子アマを制覇。13年プロ転向。14年9月の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を大会最年少で制し、ツアー初V。通算5勝。得意クラブはパター。今季2勝。

 ▼松山英樹を参考 今年2月に松山が連覇した米ツアーのフェニックスオープンを生観戦。「私が思い描くフェードボールだった。リズムを参考にした」

 ▼チョコで集中力アップ 今大会の第3日夜にスマホで集中力を高める方法を検索し、最終日はチョコを食べて出陣。最近1か月は苦手な野菜中心の生活。「あしたから好きなものを思う存分食べたい」

 ▼「アメトーーク!」出演 6月にテレビ朝日系人気番組のゴルフ芸人特集で収録中に紹介され、観覧席から“プチ出演”した。DVDを見るほど好き。

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