男子プロゴルフツアーの今季最終戦、日本シリーズJTカップは11月30日から4日間、東京よみうりCCで行われる。賞金王の可能性を残す4人の中でトップを走る小平智(28)=Admiral=は28日、練習ラウンド9ホールで調整。今大会3勝の“日本シリーズ男”宮本勝昌(45)=ハートンホテル=から年間2億円超えを指令され、大会初制覇で「賞金王」「2億円」「海外メジャー・マスターズ出場権」の“総取り”を実現させる意気込みを示した。
無関心を貫いてきた小平の心が動いた。勝てば初の賞金王。「意識してこなかったけど、さすがにここまで来たら取りたい。自信はある」。シーズン佳境。家族や友人から期待され、手の届きそうな栄冠を無視できない。
“日本シリーズ男”からの指令もある。前週は初日101位と出遅れ。54位で予選通過すると、宮本から「年間で2億円にいってほしい。男子のレベルが高いと言われるように」と激励された。爆発的なカムバックで最終8位に入り、1億6000万9813円とした。今大会の優勝賞金は4000万円。ギリギリで望みをつなぎ、この日は宮本に「よくやったよ~」とねぎらわれた。
勢いに乗る男は、さらに野望を持つ。年末時点での世界ランク50位以内に与えられるマスターズ出場権獲得が以前から第1目標。現在同53位で勝てば夢舞台行きが確実だ。3月に結婚した08年賞金女王の妻・古閑美保(35)も応援に来る予定。「いいところを見せたい」と史上初の“夫婦賞金王”にも王手をかけている。
この日はイン9ホールでグリーンの傾斜などを入念に確認。昨年の最終日は2位と3打差の首位で後半に入ったが、最終18番で下り約3メートルのパーパットを外して逆転負けの2位。チップインバーディーだった同組の朴相賢に優勝をさらわれた。「18番に来て悔しさを思い出した。僕も右手前(ラフ)に外してチップインしたいですね」。冗談交じりに話しながらも、欲深く全てを奪いにいく。(浜田 洋平)