◆男子プロゴルフシニアツアーファンケルクラシック 第2日(18日、静岡・裾野CC=7009ヤード、パー72)
アマチュア枠で大会に初出場したプロ野球・巨人の原辰徳前監督(60)=ファンケル=はバーディーなしの6ボギー、4ダブルボギーの86と大苦戦した。通算20オーバーとして、出場75人中、初日の68位から最下位(途中棄権を除く)に転落した。首位は通算9アンダーとした米国のグレゴリー・マイヤー(56)=パールCC=。1打差の2位に田村尚之(54)=ダイクレ=。さらに1打差の3位に元プロ野球選手の張本勲さん(78)のおいの張本茂(51)=至誠館大監督=が続く。
ボロボロに打ちのめされても“若大将”は潔かった。前半46、後半40で86をたたいた原さんは「甘いね。技術が足りない。ベストを尽くしたけど」と一切、言い訳をせずに苦闘の一日を振り返った。78で回った第1日は「野球で言えば4打数1安打かな」と自己評価したが、この日は「4タコ(4打数無安打)だね」と苦笑いした。
「4番サード、原!」。初日に続き、この日も“お約束”のアナウンスが1番パー4のティーグラウンドに流れると、大観衆は沸きに沸き、一部のファンから「ホームラン、頼むぞ」という声が飛んだ。スタジアムのような熱狂と興奮の中、若大将が放った第1打は270ヤード先のフェアウェーをキープ。ファンの期待通りにバックスクリーン直撃ホームラン級の快打を披露した。
しかし、その後は凡打が続いた。第2打をグリーン右に外し、ボギーをたたくと、2番パー5は第1打を左がけ下に落としてダブルボギー。3番から5番まで連続ボギーをたたいた。6番でようやく初めてパーセーブしたが、7番でダブルボギーをたたき、8番、9番でもボギーを重ねた。前半は10オーバーの46。最終18番パー5で5メートルのチャンスを外し、この日はひとつもバーディーを奪えなかった。この日は上位選手も伸び悩むほど、ピン位置は難しかったが「そこまでの景色が見えていないので(関係ない)」とさっぱりした表情で話した。
最下位に沈んだが、原さんへの期待と注目の大きさは変わらない。若大将の参戦が話題を呼び、この日の観衆は9553人。第2日としては2010年の8833人を720人上回り、大会史上最多となった。第1日に続き各日記録を更新した。大会累計では1万6868人。2012年に今大会がマークしたシニアツアー日本記録(2万3802人)の更新も濃厚となった。
裾野CC周辺は第1日に続き、若大将お目当ての「辰徳渋滞」が発生。コース手前の約3キロから車が列をなした。優勝争いをする最終組と同等の大ギャラリーが原さんの組に集結。起伏のあるコースを大汗を流しながら応援した。「原さん、頑張れ!」の声が上がると「ありがとう!」と爽やかな笑顔でこたえた。今大会は予選落ちがなく、全員が最終日までプレーする。「明日、頑張ります!」ときっぱり。
原辰徳。60歳。スコアは崩れても、スターならではのプロ意識とファイティングポーズは崩さなかった。