■ 大会最終日(10月5日)
10月5日。JNJGインターナショナルジュニアクラシック最終日のこの日は前日からの雨が降り続き、強風が吹き付け最高気温も15℃と肌寒い天候のなか、岩井さんは3バーディー、4ボギーの1オーバー73と3番目に良いスコアでまわり、前日から順位を2つ上げ6位入賞をはたした。同女子の部ではキャサリン・ノリス(豪州)が4日間282、6アンダーで2位に9打差をつけ優勝。男子の部ではハイデン・ホープウェル(豪州)が283、5アンダーで優勝した。
日本選手のコメント
岩井明愛(6位、16歳女子の部3位、16歳女子ネットの部優勝)
「課題のパットがやっぱり下手くそだと思った」と、この日、1メートル以内のパターがことごとく入らなかった。ショットの調子が良かっただけに悔やまれる。「日本のグリーンと違い平らなところがなく、傾斜がきつい」と慣れないグリーンに終始苦しめられた。
また、海外選手とのラウンドには「コミュニケーションを取るのは楽しいけど、大変だった。日本のラウンドの倍は疲れた」と英語でのやり取りに四苦八苦。「ただ、自分の英語力に成長を感じた。英語をもっと勉強しないと世界で活躍できない」と学業での語学力向上を誓った。「将来は日本一のプロ選手になりたい」。夢の実現に向けて課題のパットを克服し、世界に羽ばたく選手になるために今回の経験で得たものは大きい。
長野京介:3バーディー、9ボギー78(19位タイ、17歳男子の部6位)
「スタートが悪く、流れが悪かった」と出だしの1番パー5で“バーディー必須”と言い聞かせ意気込んだが、1メートル半を外しボギースタート。「立て直したかった」と続く2番ホールでは強く打ちすぎて3パット。連続ボギースタートで気合が空回りしてしまった。
「パターは得意なのに」とこれまで30パット以上を打った記憶がほとんどない。今後は「どんな状況でも対応できる“パターのスペシャリスト”になりたい」とより一層の努力を誓う。
収穫もあった。外国選手に飛距離が劣らなかった点だ。「ドライバーが大好き」という長野くんは300ヤードを飛ばす。体格面では劣るも効率の良いスイングで外国選手からのオーバードライブを許さなかった。今後はもともと得意なパターとドライバーを更に磨きをかけて目標のプロゴルファーを目指す。
榎本杏果:1バーディー、8ボギー、1ダブルボギー81(28位、15歳女子の部9位)
最終日を迎えた朝、体調が優れず棄権も考えたが、無事ホールアウトでき「非常に疲れました」と安堵感と開放感が入り交じっていた。
昨年に引き続き2回目の出場で「昨年(47位タイ)より大きく順位を上げられたことは成長できた」と実感しつつも最終日は36パットを要し、「パットが全然入らない。スコア的には全然満足できない」と全体を通してはもっとできたという想いが上回る。初日に83をたたき、翌日の朝、母親に電話をかけ慰められて“泣いた”。「ゴルフをする直前に泣いたのは初めて」というように昨年大会終了時から今年にかける想いが強かった分、悔しかった。
ただ「やっぱりこの大会は楽しい」。共同生活することや、大会の雰囲気がお気に入りで、3回目となる来年の出場を目指す。来年は高校1年生となり、出場権をかけた報知ジュニアでは一番年下になる。「厳しいと思うけど、3回目の出場を目指したい」ときっぱり。流した涙の分、きっと強くなって戻ってくるだろう。
関根東馬:2バーディー、7ボギー77(52位タイ、15歳男子の部10位タイ)
「雨風が強いなか良いスコアで回れて良かった」とコンディションが悪いなか一定の満足を示す。この日はティショットが曲がり、2打目がグリーンを狙いにくいトラブル箇所からもアイアンショットが冴えバーディーチャンスにつけるなどショット、アプローチ、パターが好調だった。
4日間を通じて外国選手とのラウンドは楽しかったようで、連日、同組の選手達と和気あいあいで楽しそうにラウンドしていたのが印象深い。
得意ではない英語よりジェッシャーを交えて外国選手とコミュニケーションをとり誰とでも仲良くなれるのは不思議な魅力だ。まだ13歳で出場選手最年少。クラブの番手や体力、技術もまだ劣るがこれから非常に楽しみな選手だ。
<最終日成績 男子148名、女子60名参加>
PAR72 | 1st | 2nd | 3rd | Final | |||||
選手名 | 部門 | 10月2日(火) | 10月3日(水) | 10月4日(木) | 10月5日(金) | TOTAL | 総合 | 年齢別部門 | |
榎本 杏果 | 15-17歳女子 | 83 | 75 | 80 | 81 | 319 | 28 | 9 | 15歳女子の部 |
岩井 明愛 | 15-17歳女子 | 71 | 79 | 73 | 73 | 296 | 6 | 3 | 16歳女子の部 |
関根 東馬 | 15-17歳男子 | 77 | 81 | 78 | 77 | 313 | T52 | T10 | 15歳男子の部 |
長野 京介 | 15-17歳男子 | 70 | 78 | 76 | 78 | 302 | T19 | 6 | 17歳男子の部 |
長野・岩井ペア | 団体戦 | 141 | 157 | 149 | 151 | 598 | 6 |
■ 大会第3日(10月4日)
10月4日。大会3日目は早朝から雨が降り続き、気温も最高19℃と肌寒い天候。全選手がスコアメイクに苦しむ展開となった。
日本選手も例外ではなかったが、粘りをみせ3選手が昨日からの順位を上げることに成功。最終日に向け最後の気力を振り絞る。
【3日目成績】
長野京介:1バーディー、3ボギー、1ダブルボギー、4オーバー76
関根東馬:3バーディー、6ボギー、1トリプルボギー、6オーバー78
岩井明愛:2バーディー、1ボギー、1ダブルボギー、1オーバー73
榎本杏果:3バーディー、4ボギー、2ダブルボギー、1トリプルボギー、8オーバー80
<第3日成績 男子148名、女子60名参加>
PAR72 | 1st | 2nd | 3rd | Final | (現在の順位) | ||
選手名 | 部門 | 10月2日(火) | 10月3日(水) | 10月4日(木) | 10月5日(金) | TOTAL | 総合 |
榎本 杏果 | 15-17歳女子 | 83 | 75 | 80 | 238 | T30 | |
岩井 明愛 | 15-17歳女子 | 71 | 79 | 73 | 223 | T10 | |
関根 東馬 | 15-17歳男子 | 77 | 81 | 78 | 236 | T65 | |
長野 京介 | 15-17歳男子 | 70 | 78 | 76 | 224 | T12 | |
長野・岩井ペア | 団体戦 | 141 | 157 | 149 | 447 | 5 |
■ 大会第2日(10月3日)
10月3日。大会2日目のこの日は晴天ながらも朝から昼過ぎまで強風が吹く難コンディション。初日男子の部で4位の長野くんは6オーバー78、順位を14位とした。女子の部では初日3位の岩井さんが7オーバー79、13位タイとして、3日目以降に雪辱を誓った。そのなかで一人、気を吐いたのは日本選手でこの日ベストスコアをマークした榎本さん。昨年に引き続き2回目の出場となる榎本さんは昨年大会のベストスコアから1打縮める75。前日の44位から順位をあげ28位とした。
長野京介:
スタートの1番パー5は距離が短く「バーディー必須」と意気込んで出たが、ティーショットがバンカーに入り、球が見えないほど砂に埋まる通称“目玉”。脱出に1打ようしボギースタート。13番のティーショットも左に曲げ林に入れると、2打目が木に当たりこのホールをトリプルボギーとした。その後はバーディーが欲しくて無理をする悪循環に落ちた。「明日は雨予報なので、好スコアが出にくい。なんとか耐えたい」と上位進出はまだ諦めない。
榎本杏果:
「頑張りました」。開口一番ホッとしたのだろう。昨年、昨日と「70台は出せないと思っていた」、「昨日より悪いスコア(83)じゃなければ良い」とやるほどに自信が少しずつ奪われていった。しかし復調のキッカケは“開き直り”だった。「どうせ曲がるなら思い切り打って曲げよう」と振り切ったドライバーは曲がらなくなった。パットもライン取りを修正しショートパットを外さなくなった。「今日はダブルボギー2個だったので1個にしたい」と謙遜も少しずつ自信を取り戻してきた。
関根東馬:
スタートしてから序盤でショットが不調に陥った。「原因が分からない」ままホールアウト。
ショットの不調はパターにも現れ「全てが悪かった」と唇をかんだ。
残り2日間、「伸ばさないと追いつけないので、攻められるホールは積極的に狙ってスコアを伸ばしたい」とまだまだ諦めない。
岩井明愛:
「悔しい1日だった」と前半の2つのショートホールでダブルボギーを悔やんだ。
初日は16ホールでパーオンを記録したが、この日はパーオン9つとショットの乱れ、風のジャッジが難しかった。
「自分のイメージ通りに打てない」と打った直後の起きあがりの早さを原因にあげた。
「残り2日頑張って巻き返したい。優勝したい」とまだまだ諦めない。
<第2日成績 男子148名、女子60名参加>
PAR72 | 1st | 2nd | 3rd | Final | (現在の順位) | ||
選手名 | 部門 | 10月2日(火) | 10月3日(水) | 10月4日(木) | 10月5日(金) | TOTAL | 総合 |
榎本 杏果 | 15-17歳女子 | 83 | 75 | 158 | T28 | ||
岩井 明愛 | 15-17歳女子 | 71 | 79 | 150 | T13 | ||
関根 東馬 | 15-17歳男子 | 77 | 81 | 158 | T69 | ||
長野 京介 | 15-17歳男子 | 70 | 78 | 148 | T13 | ||
長野・岩井ペア | 団体戦 | 141 | 157 | 298 | T5 |
■ 大会第1日(10月2日)
サイプレスレイクスG&CC(豪州・NSW州)で10月2日から4日間行われる「2018JNJGインターナショナルジュニアクラシック」は2日大会初日を迎えた。15歳から17歳までの男女別で行われる今大会にはオーストラリア全土はもとより世界から9か国が集結。総勢207名が参加し日本からは長野京介くん、関根東馬くん、岩井明愛さん、榎本杏果さんの4名が参加した。
大会初日は日本勢が躍動した。男子の部で長野京介くんが5バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの69、首位と2打差の2アンダーでラウンドし単独4位発進。女子の部に出場の岩井明愛さんは3バーディー、2ボギーの71、首位と4打差の1アンダーで3位タイ発進を決めた。また国別と豪州の州ごとが参加し1チーム2名選抜し争う団体戦では、日本が長野、岩井の活躍により首位発進を決めた。
長野京介:
海外の試合は今年の4月に米・フロリダで行われた試合に続き2試合目。初日のスタートホールの10番パー4ではセカンドを「トップしちゃいました」とキャリーでグリーンをオーバー、いきなりダブルボギー発進も「まだ17ホールある。まだ残り3日間ある」と自身に言い聞かせ焦らず集中できた。
「ティショットが良かった」というようにほとんどのホールでフェアウェイを捉え、4つあるパー5で3つバーディーを奪った。また「パターはもの凄く集中した」と3メートル以内のショートパットをほぼミス無く沈め、取りこぼしがなかったのが好スコアに繋がった。もともとドライバーの飛距離には自信があり、地面が固くランが出やすいこのコースは相性が抜群。飛距離という圧倒的なアドバンテージを生かし2日目以降は「優勝をねらいます」と優勝宣言をした。
岩井明愛:
「目標が3アンダーだったし、初日なので伸ばせるだけ伸ばしたかった」と2アンダー、3位タイと好発進も不満顔。「パターが入らず、チャンスで決めきれなかった」と16ホールでパーオンしショットが好調なゆえに、もどかしさが残った。
「日本のコースにはない」とフェアウェイの起伏の大きさと「ポテトチップみたい」と評するグリーンのうねりには警戒感を示す。ただ海外の選手とラウンドすることが「楽しい」と目標の毎日“3アンダー”を楽しくプレーしながら優勝を目指す。
関根東馬:
「海外試合は初めて」と日本とは違う慣れない芝種、地面の固さに手こずった。特にショートアイアンで精彩をかき「地面が固くて球が上がらない」と短い距離からグリーンを外したりアプローチでピンに寄せきれずもったいないボギーを叩いた。とにかく明日は“75”以内で回りたいと試行錯誤を繰り返し少しでも上位進出を目指す。
榎本杏果:
日本選手4選手中唯一の本大会経験者だが、昨年の初日のスコアと同スコアの83。「何でだろう」とショットとアプローチ、パターの全てが噛み合わない。特にパターが重傷で「ラインが読めない」とことごとくカップを外した。日本でできることが海外ではできない。「オーストラリアに向いてないのかな」と弱気な発言もポツリ。ただ、「やっぱりこの大会は楽しい」と大会の雰囲気や一緒にラウンドする海外選手の優しさにも触れ「昨年よりは良いスコアで回ります」と残り3日間に全力を注ぎ込む。
<第1日成績 男子148名、女子60名参加>
PAR72 | 1st | 2nd | 3rd | Final | (現在の順位) | ||
選手名 | 部門 | 10月2日(火) | 10月3日(水) | 10月4日(木) | 10月5日(金) | TOTAL | 総合 |
榎本 杏果 | 15-17歳女子 | 83 | 83 | T44 | |||
岩井 明愛 | 15-17歳女子 | 71 | 71 | T3 | |||
関根 東馬 | 15-17歳男子 | 77 | 77 | T39 | |||
長野 京介 | 15-17歳男子 | 70 | 70 | 4 | |||
長野・岩井ペア | 団体戦 | 141 | 141 | 1 |
■ 練習ラウンド(10月1日)
9月29日、豪州・NSW州で開催される「JNJGインターナショナルジュニアクラシック」に出場するため、選手4名(長野京介くん、関根東馬くん、岩井明愛さん、榎本杏果さん)が豪州出発に向けて羽田空港に集まった。
これから8日間、1棟のコンドミニアムで共同生活を送り、他国の選手と戦う同士でもある4選手は期待と不安が交錯するなか、出発ロビーを後にした。
9月30日午前8:00から日本チームの練習ラウンドがスタート。
和気あいあいの雰囲気のなか、入念なコースチェックをおこなった。
「グリーンが小さい」、「アプローチで芝がウエッジに絡む」など警戒を示すも、「全体的に距離が短い」など前向きな感想も聞かれた。
練習ラウンド後には男子2名がドライビングコンテストに参加、その後は日本を含む他国の選手紹介が行われるなど開会式が行われ、お互いの健闘を誓い合った。
期待を胸にいよいよ明日から本戦がスタートする。