◆男子プロゴルフツアー 国内メジャー第3戦日本オープン第2日(12日、神奈川・横浜CC)
31位から出たアマチュアの桂川有人(20)=日大2年=が1イーグル、6バーディー、2ボギーのベストスコア65。通算8アンダーで単独首位に浮上した。高校3年間、フィリピンに単身ゴルフ留学した異色の経歴を持つ。畑岡奈紗(19)、勝みなみ(20)ら女子プロ黄金世代の活躍が目立つ中、男子も負けじと同学年の新星が登場した。第1回大会の1927年・赤星六郎以来、91年ぶり2人目のアマ優勝を狙う。
ツアー初出場のアマチュアが、リーダーボードを一気に駆け上がった。11番で不運なボギーもあり、「予選通過を目指していた」桂川は12番から持ち前の爆発力を発揮した。12番で3メートルのバーディーを決めると、13番では10メートル、続く14番では5メートルに2オンしてイーグルを奪った。勢いは17番のバーディーまで止まらず、6ホールで7つ伸ばすミラクルを演じた。
2台の投光器に照らされた午後4時45分すぎの最終18番、2メートルのパーパットを沈めてガッツポーズ。2日目に60をマークして日本学生選手権(8月、埼玉)を制した20歳は「気づいたら首位に立っていた。まだ実感がない。自分でも信じられない」と、興奮冷めやらぬ表情だった。ベストスコア65で、アマでは91年大会初日の米倉和良以来の首位に躍り出た。
中学3年の時に「プロを目指そう」と、母・亜紀さん(39)の元を離れ、単身でフィリピン留学を決意した。知人の日本人クラブ職人の家に下宿し、ネットで日本の通信制高校の授業を受けながら、目の前にあるマニラサウスウッドGCでゴルフ漬けの日々を過ごした。最初は食事が合わず、おなかを壊したこともあるが、推薦出場したフィリピン・ツアーで7位に入るなどグングンと実力をつけた。「横浜CCは芝が薄いからフィリピンに似ている」とアプローチもさえた。
イケメンでプレーも取材対応も堂々としたもの。同学年の黄金世代が活躍する女子だけでなく、男子でも昨年2位の金谷拓実(東北福祉大2年)に続き有望株が登場した。「自分も、もっとやらなきゃいけない」と桂川。優勝してプロ転向なら、2007年石川遼(翌08年に宣言)以来となる。「勝つとシード(ツアー出場権)をいただけるので優勝を目指したい」。戦国武将・織田信長ゆかりの愛知・清須市出身の新星が歴史を作る。(岩原 正幸)
▼生まれとサイズ 1998年10月9日、愛知・清須市生まれ。20歳。ルネサンス豊田高から日大に進学。167センチ、64キロ。家族は祖父、母。
▼ゴルフ歴 4歳で、シングルプレーヤーだった祖父・征男(ゆきお)さん(73)の勧めで。2016年愛知県ジュニア優勝、17年朝日杯学生選手権優勝、文部科学大臣杯優勝。18年日本学生選手権優勝。ドライバーの飛距離は280~90ヤード。
▼目標の人 スポーツ界ではメジャーリーグの大谷翔平(エンゼルス)で「人柄が好き」。ゴルフ界ではタイガー・ウッズ(米国)に憧れている。