松山英樹、人生初の誤球で2罰打 メーカーも中央の線も同じ星野の球と勘違い


 ◆男子プロゴルフツアー ダンロップ・フェニックス第1日(15日、宮崎・フェニックスCC=7027ヤード、パー71)

 松山英樹(26)=LEXUS=が人生初の珍事を起こした。前半の14番で同組の星野陸也(22)=フリー=の球を間違えて打ち、星野も松山の球を打ったため、ともに誤球で2罰打を科された。4バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの72で1オーバー56位と出遅れ、プロ転向後の日本ツアーでは13年ミズノオープン以来、2度目の予選落ち危機を迎えた。小田孔明(40)=プレナス=が66で首位。

 まさかの事態は14番グリーンで発覚した。松山は好機につけて歓声を浴びた直後、進藤大典キャディーにボールを拭いてもらうと異変に気づいた。「あっ、と言われて『どうした?』とボールを見たら…」。第2打で同組の星野の球を打っており、がっくりと肩を落とした。

 ピンまで約110ヤードの左ラフで、ほぼドライバーの飛距離が同じ松山、星野の球が前後に並んだ。本来なら前が松山、後ろが星野だったが「僕の方が飛ばないと勝手な臆測があった」。ボールはともに契約する住友ゴム工業社の「スリクソンZ―STAR XV」で、中央に赤道のように黒い線があるのも同じだった。松山は3、星野は2と球に番号を刻印し「りくや」というネームも入っていたが、ラフに埋まって気づかなかった。松山は後方の球を放ち、直後に星野も迷わずに第2打を放った。

 グリーン上で競技委員を呼んで両者打ち直しとなると、石川遼もいる最大の注目組に集まった500人以上のギャラリーは、状況がのみこめず騒然となった。誤球した両者は、ゴルフ規則15―3bの違反で2罰打が科されてダブルボギー。「人生で初めて。不注意だった。陸也に申し訳ない」とわびた。競技委員は「1人の誤球はたまにあるが、お互いでやるのは珍しい」。日本ゴルフツアー機構関係者も「(誤球自体が)2年に1回くらい」という珍事だった。

 松山はその後、見分けがつくように球にチェックを入れた。18番と2番でも第1打を星野とほぼ同距離に運び、しゃがんで球を確認する場面もあった。前週から3ラウンド(R)連続オーバーパーは13年のプロ転向後初。今大会でも16R目でワーストの72となった。「上が伸びてないからチャンスはあるけど、状態からしたら厳しい」。最後までショックは隠せなかった。(岩原 正幸)

 ◆ゴルフ規則15―3b 競技者が誤球に対して1回または複数回のストロークをした場合、2打の罰を受ける。競技者は正球をプレーするか、規則に基づいて処置することによって、誤りを訂正しなければならない。競技者が次のティーグラウンドからストロークする前に誤りを訂正しなかったときは、競技失格となる。誤球が他の競技者の球であった場合、その球の持主は誤球のプレーが最初に起きた箇所に球をプレースしなければならない。(抜粋)

 ◆過去の誤球

 00年ブリヂストンオープン最終日15番で、宮本勝昌はキャディーから手渡された伊澤利光の球でティーショットを打った。伊澤とは前日まで3日間同組。その記念にキャディーがもらったボールがバッグに入ったままだった。ゴルフ規則第5条1項bによると、使用球は同じブランド、同じタイプの球でなければならず、違反すると2罰打。宮本は1打差で2位となったが「僕が確認しなかったのがいけない」と泣きじゃくるキャディーをかばった。

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