◆女子プロゴルフツアー 大王製紙エリエールレディス 最終日(18日、愛媛・エリエールGC松山=6525ヤード、パー72)
首位タイからスタートした勝みなみ(20)=明治安田生命=が7バーディー、ボギーなしの65で回り、通算20アンダーでアマチュア時代のKKT杯バンテリンレディス(2014年4月)以来の通算2勝目&プロ初優勝を飾った。15歳でプロツアーに優勝し、日本中を驚かせた快挙から4年半。念願のプロ初優勝に歓喜した。
首位タイから出た松田鈴英(れい、20)=ニトリ=が4打差2位。人気、実力ともに急上昇中の美人プロが自己最高位に入った。6打差3位は菊地絵理香(30)=オンワードホールディングス=。首位スタートの有村智恵(30)=日本HP=はスコアをひとつ落とし、8打差7位。同じく首位からスタートし、日本人アマとしてはツアー史上5人目の優勝を狙った上野菜々子(18)=東海大大阪仰星高3年=も8打差7位に終わった。
賞金ランクトップのアン・ソンジュ(31)=モスバーガー=を大逆転するためには最終2連戦で連続優勝が絶対条件だった申ジエ(30)=スリーボンド=は4位にとどまり、アンの4年ぶり4度目の賞金女王が決まった。
ついに勝が勝った。20歳の勝と松田、18歳の上野の組み合わせで平均年齢19・33歳。ともに通算13アンダーで並び、ツアー史上最年少となった最終日最終組で、スタートから抜け出した。
1番パー4、2番パー4で連続バーディー。残り99ヤードの第2打を直接放り込んでイーグルを奪った第3日の18番から合わせると、3ホールで4つもスコアを伸ばし、驚異的な爆発力を見せた。
2位の松田に2打差をつけて前半を折り返すと、後半も落ち着いたプレーを続けた。14番パー4では第2打をグリーン左に外すピンチに見舞われたが、4メートルのパーパットをど真ん中から沈め、スコアを落とさなかった。17番パー5のドライバーショットは当たりが良すぎてフェアウェーを突き抜け、ギャラリーの歩行エリア直前まで届いた。アイアンで放った第2打はあわやグリーン右手前の池ポチャのピンチだったが、第3打を3メートルに寄せてバーディー奪取。通算20アンダーの大台に届かせた。
「自分のゴルフに集中したい」スタート前に冷静に話した20歳は、自身の言葉を守るように笑顔を振りまきながら18ホールを戦い抜いた。
最終18番で80センチのウィニングパットを沈めると、一転、初めて感情をあらわにして喜びを爆発させた。いつものように、この日も全18ホール、距離にして約7~8キロを歩いて見守った母・久美さん(51)も18番グリーンサイドで感極まった。新垣比菜(20)=ダイキン工業=ら黄金世代と呼ばれる仲間たちもグリーンサイドで喜びを分かち合った。
2014年4月、KKT杯バンテリンレディスを15歳で制し、天才少女と呼ばれた勝は、今季、満を持して初めてツアーにフル参戦。6月には2戦連続で2位になったが、念願のプロ初優勝は近そうで遠かった。夏以降、急激に調子を落とし、9戦のうち予選落ち7回、途中棄権1回、最高で64位と苦しんだ。それでも、10月末の樋口久子三菱電機レディス8位で今季8度目のトップ10入りとシーズン終盤に調子を取り戻し、残り2戦で大輪の花を咲かせた。
平成最後のエリエールレディスで“新時代”の到来を告げるようなヒロインが誕生。かつての天才少女は4年半の時を経て、名実ともにトッププロとなった。
◆勝みなみ(かつ・みなみ)1998年7月1日、鹿児島市生まれ。20歳。8歳からゴルフを始める。鹿児島高に入学直後の2014年4月、KKTバンテリンレディスで日本女子プロゴルフツアー史上最年少の15歳293日で優勝。1973年の清元登子、2003年の宮里藍に続く快挙を成し遂げた。17年3月に鹿児島高を卒業し、同年7月のプロテストに一発合格。今季初めてツアーにフル参戦し、トップ10入り9回と存在感を発揮した。157センチ、56キロ。
◇史上最年少最終組 今大会は3人1組としてはツアー史上最年少の最終日最終組が実現。これまでは2003年ヨネックスレディスの古閑美保(当時21)、竹末裕美(同20)、アマチュア宮里藍(同18)の3人による平均19・67歳が最年少記録だった。2人1組では16年日本女子オープンで柏原明日架(当時20)とアマチュア長野未祈(同15)の平均17・5歳だった例がある。